おやぢの部屋2
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FAURÉ/Requiem
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Andrew Foster Williams(Bar)
Hervé Niquet/
Flemish Radio Choir
Brussels Philharmonic Soloists
EPR/EPRC 0015




2007年に最初のCDを世に送ったベルギーの新しいレーベル「Evil Penguin Records Classic」の新譜、フォーレの「レクイエム」です。これが15枚目のアイテムということになる、かなり「堅実」な歩みのレーベルですね。「ちょい悪ペンギン」という意味にでもなるのでしょうか、なんかかわいらしいマークが付いていて和みます。

その「EPR」が、フランダース放送合唱団と2011年にその指揮者に就任したエルヴェ・ニケによる録音を開始しました。なんでも、これから5枚の「レクイエム」のCD制作が予定されているのだそうです。その1枚目としてリリースされたのが、このフォーレです。
今まで、バロック音楽やフランス・ロマン派の珍しいレパートリーを紹介してくれていたニケが、この作品の多くのバージョンの中で選んだのは、第2稿の「ラッター版」でした。しかも、その楽器編成中で「省いても構わない」とされているトランペットやファゴットはここでは使われてはいません。ですから、楽器編成としてはソロ・ヴァイオリン、4人のヴィオラ、4人のチェロ、2人のコントラバス、4人のホルン、そしてハープ、ティンパニ、オルガンがそれぞれ1人ずつ、計18人というコンパクトなものになっています。しかも、ハープなどは聴こえるか聴こえないかという扱いで録音されていますから、オーケストラ全体の響きは本当に地味~なものに仕上がっています。
合唱は各パート6人ずつの24人編成。とてもまとまったハーモニーを聴かせてくれますが、それぞれのメンバーはかなり主張が強そうな感じ、時折張り切り過ぎて一人だけ目立つ声とか、ちょっと邪魔なビブラートが聴こえてくることもあります。
ブックレットには、このフォーレを録音しているときの写真がたくさん載っています。どうやら、かなり大きなコンサートホールのステージの上に、オーケストラと合唱団が向かい合って演奏しているようです。指揮者はその真ん中にいます。普通はオーケストラの後ろに合唱団というケースがほとんどでしょうから、どうしても合唱団との距離が遠くなってしまいますが、これだったらきっちりどちらにも緊密なコンタクトが取れるという配慮なのでしょう。
まず、ユニークに感じられるのは、ラテン語のテキストの発音です。以前ヘレヴェッヘが第3稿を録音した時に採用した、フランス風の発音がここでも聴くことが出来ます。「luceat eis」を「ルーセアト・エーイス」と発音する、といったようなやり方ですね。これはヘレヴェッヘの時よりさらに徹底されていて、そのちょっとゴツゴツした感じはとても「地方色」が感じられるものです。
演奏は、この曲にありがちな「静かに死者を悼む」といったような陳腐なものでは決してなく、かなりアグレッシブ、特に「Offertorium」での殆ど冗談に近いテンポの速さには驚かされます。さらに、あちこちで極端なクレッシェンドやディミヌエンドでかなり個性的な表情を付けていますが、これも従来のスタンダードからは程遠いもの、まさに「殻を破った」ということになるのでしょう。
そして、最もユニークなのが、「Pie Jesu」のソロを、ソプラノパート全員で歌っていることでしょう。これは、ニケによれば当時の社会習慣に従ったものなのだそうですが、そろはちょっとどうかな、という気がします。
初めて聴いた、カップリングのグノーの「十字架上の主の7つの言葉」は、ルネサンスの宗教曲を19世紀に蘇らせたような不思議な作品です。有名なテキストをもとに、ホモフォニーとポリフォニーをうまい具合に使い分けて、時代を超えた合唱音楽の神髄を伝えてくれます。かなりドラマティックな部分や、半音階も登場しますが、それも完全に様式の中に収まっています。もちろんア・カペラ、こちらの方が、ストレートにこの合唱団の長所が味わえます。
フォーレとは別の会場でのセッションで、CDで聴いてもとても素晴らしい録音であることが分かります。

CD Artwork © Evil Penguin Records Classic
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by jurassic_oyaji | 2014-10-13 20:42 | 合唱 | Comments(0)