おやぢの部屋2
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Du bist die Welt für mich
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Jonas Kaufmann(Ten)
Julia Kleiter(Sop)
Jochen Rieder/
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
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カウフマンの新しいアルバムのジャケットは、彼がNEUMANNの「CMV 3」という、1928年に作られた真空管コンデンサー・マイクの前に立って歌っている図柄です。ここで彼が取り上げているのが、両大戦間に作られたオペレッタや映画の中で歌われていた音楽だということですから、これほどその「時代」を物語っているマイクもありません。なんせ、このマイクはこんな使われ方もされていたのですからね。

もちろん、このマイクはまだ現役でも使われてはいるのでしょうが、今回のCDに関しては単なる「小道具」としての役割しかなく、実際のレコーディングには同じNEUMANNでも有名なU87あたりが使われていたのは、このCDPVを見ても分かります。



そうなんです。今ではクラシックの世界でも、このように大きなセールスが期待できるアイテムではしっかりこんなPVまでが作られて、その宣伝には多額の費用をかけるようになっているのですね。しかし、ここで見るカウフマンのお茶目なこと、ちょっとおどけた表情などは、ハリウッド俳優のブラッドリー・クーパーに似てたりしませんか?
このPVの最後には、お客さんがいっぱい写っています。これは、このレコーディングが行なわれた最後の日に、その会場であるかつての東ドイツの中央放送局の建物(「フンクハウス」と呼ばれていますが、公衆トイレではありません・・・それは「糞ハウス」)の中の、今ではその優れた音響によって、録音スタジオとしてよく使われているホールで「公開録音」が行われている様子なのです。

たまたま手元に、この同じ場所で録音されたSACDがあって、そのブックレットにホール内の写真があったので、見比べてみてください。ちゃんと椅子が設置された客席がありますね。



実は、今回のCDのコンセプトは、2011年にベルリンの「ヴァルトビューネ」という、有名な野外施設で行われたコンサートがきっかけになっているのだそうです。それを聴いてこんなCDが作られるのを楽しみにしていたベルリンの市民が、この、決して交通の便が良いとは言えない会場に、凍った冬の道(ちょうど「大寒」の日でした)を歩きながら集まってきたのだそうです。
もちろん、これはそのような単なる「ファン・サービス」ではなく、その一部始終はしっかり録画されて、DVDとしてリリースされています。ただ、そのDVDは、今回入手したドイツ語版のCDの他に、英語やフランス語で歌っているバージョンのCDと、このDVDとがセットになった、普通に買えば10,000円近くするデラックス・バージョンとしてしか入手はできません。なんという「商売」なのでしょう。さらに、さっきのPVのサイトには、LPもリリースされているような情報がありますが、それはどこでも入手することはできません。
ここでカウフマンが歌っているのは、まさに「古き良き時代」の音楽でした。それは、当時のオペレッタ業界に君臨していたレハールとカールマンという「2大巨頭」だけでなく、名前も知らないような作曲家の、しかし、おそらくドイツの人たちには懐かしくてたまらないようなメロディにあふれた佳曲なのでしょう。さらに、ロベルト・シュトルツという、今ではもっぱら往年の大指揮者として知られる人が作ったオペレッタの中の曲などは、レコードにもなってまさに「ヒット曲」として聴かれていました(シュトルツの友人であったマレーネ・ディートリッヒは、このアルバムのタイトル曲である「君は我が心のすべて」を、よくコンサートで歌っていたそうです)が、それを、そのレコードの完コピのアレンジで聴かせられたりしたら、ノスタルジアもさぞや募ることでしょう。
ただ、それをほとんど共有できない私たちにとっては、ちょっとしたいらだちも感じなくはないかもしれません。これは、この間ケント・ナガノが行わせた日本の唱歌のグローバルなアレンジとは、全く逆の発想です。

CD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2014-10-17 21:14 | オペラ | Comments(0)