おやぢの部屋2
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MOZART/Gran Partita, Requiem
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I Solisti del Vento
I SOLISTI RECORDS/ISR06351




この「管楽器のソリストたち」という意味のイタリア語の名前を持つ、1991年に結成されたベルギーの管楽器アンサンブルは、今まで多くのレーベルからCDを出していましたが、2013年には、ついに念願の自分たちのレーベルを作りました。これは、そこからリリースされた最初のアイテムとなります。録音されたのは「レクイエム」が2009年、「グラン・パルティータ」が2010年です。
さりげなく、「レクイエム」などと書いてしまいましたが、これはもちろんモーツァルトの遺作となり、結局未完に終わってしまったあの作品のことです。それを、歌を入れないで、管楽器だけの団体であるこの人たちが演奏するというのですね。いったいどんなことになるのでしょう。ただ、こちらなどでご紹介したように、この作品を楽器だけで演奏した試みは過去にはありました。この場合は弦楽器だけでしたが、今回は、それを管楽器だけで行おうというのでしょうか。
ここで「編曲」を行っているのは、オランダの若い作曲家クリスティアン・ケーラーです。彼は、かつてこの団体のためにR.シュトラウスの管弦楽曲を管楽器の合奏のために編曲したこともあるそうで、そんな実績が買われたのでしょう。ただ、その編曲のタイトルを見ると、オリジナルよりもかなり少なくなっていますし、演奏時間も20分しかありません。まあ、ジュスマイヤーが「捏造」した曲を除くというのは考えられますが、それ以外にもかなり減ってます。さらに、ブックレットには「Dies irae」を編曲した楽譜の最初の部分があるのですが、なんだか原曲とはかなり異なる感じがします。
確認してみると、この編曲での楽器編成は、カップリングとなっている「グラン・パルティータ」と全く同じ12の管楽器とコントラバスというものでした。そして、楽章の数も7つと、両方とも同じようになっています。つまり、これはさっきの弦楽四重奏版とは全く異なるコンセプトによって編曲されたものだということになります。言ってみれば、「レクイエム」を「グラン・パルティータ」の鋳型に流し込んだものになるのではないでしょうか。
しかし、実際に聴いてみると、これはそんな生易しいものではありませんでした。そもそも、「Introitus」が始まっても、聴き慣れたフレーズが全く現れません。そのうち、なんとなくそれっぽいものが聴こえては来るのですが、なんか違います。そう、これは「編曲」などというおとなしいものではなく、「レクイエム」の素材を使った「再構築」という名の「作曲」だったのですよ。
そんな手の内が分かってしまえば、あとはケーラー君との対決です。彼が仕掛けたこの「作曲」にとことん付き合ってやろうじゃないですか。そうすると、彼はいろいろ面白いことをやっていることも分かってきます。痛快なのは「Lacrimosa」では、モーツァルトが作ったところまでしかないということです。そのあとは、それまでに出てきたテーマなどを断片的に聴かせるだけですからね。
もう一つ、彼はこの中でモーツァルトの別の作品を「引用」したりしています。言ってみれば「パロディ」ですね。「ネタバレ」になるのでここには書きませんから、ぜひ探してみてください。そんなわけですから、これは背筋を伸ばして聴くような「レクイエム」では決してありません。故人の楽しかった人柄を思い出して、まったりとくつろいだら、いいのではないか、なんて気がします。
これには指揮者が付きましたが、「グラン・パルティータ」には指揮者はいません。一応ファゴットのメンバーがイニシアティブをとっているようですが、そこから生まれるとことんのびのびとした音楽には惹かれます。もちろん楽譜は新全集、第5楽章の「ロマンス」で、コーダの前の1小節をカットするのは、もう完全に浸透した習慣となったようですね(正しい楽譜はこうだ、とか)。

CD Artwork © I Solisti Records
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by jurassic_oyaji | 2014-10-25 22:37 | 室内楽 | Comments(0)