おやぢの部屋2
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DEBUSSY/La Mer, Images, Prélude
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Lan Shui/
Singapore Symphony Orchestra
BIS/SACD-1837(hybrid SACD)




ラン・シュイとシンガポール交響楽団とによるドビュッシーのオーケストラ作品集が出ました。以前こちらで「海」を聴いた時に、そのまさにアジア的なアプローチによるドビュッシーには思わずのけぞってしまった記憶がありますから、今回の新譜にも大いに期待が持てそうです。
と、これは新しい録音だと思って、ろくすっぽ調べないで注文してしまったのですが、現物を手にしてみると、この中の「海」はその時のSACDと全く同じ音源だったではありませんか。このレーベルは、ときどき平気でこういうことをやるのが、困ったものです。確かに、ブックレットの最後にとても小さなフォントでほんとのことが書かれていますが、こういうのはしっかりジャケットに表示しておくべきだとは、思いませんか?
クレジットを見てみると、曲ごとに制作スタッフも異なっていますから、そもそもこういうアルバムを作ることを目指していたわけではなかったのでしょうね。いったい、この会社は大丈夫なのでしょうか。
さらに、なんだかおかしいな?と思えたのが、そのクレジットにあった「(Take5 Music Productions)」という表記です。これが、プロデューサーやエンジニアの名前のあとに付いているのですよ。今まで、こんなものは見たことがありませんでしたが、最近の製品を見なおしてみると、確かに新しいものにはこれが付いています。
調べてみると、これはBISの社員だった5人のトーンマイスターが、2013年2月にBISから離れて設立したレコーディングのための会社だということが分かりました。BISでの録音はそのまま継続する中で、さらに他のレーベルでの録音や、さらにはもっと幅広い活動を行って行くのだそうです。その5人のメンバーは、チーフ格のインゴ・ペトリと、ハンス・キプファー、イェンズ・ブラウン、マリオン・シュヴェーベル、トーレ・ブリンクマンという、いずれもデトモルト音楽大学のトーンマイスター課程を修了したプロデューサー/エンジニアたちです。確かに、BISCDのクレジットを見ると、彼らのいずれかの名前が見られます。彼らがBISで制作したアイテムは1000件を超えているのだそうです。
最初はそれこそエンジニア出身のロベルト・フォン・バールの個人的な会社だったものが、いつの間にかこんなに多くの(この5人以外にも、専属のエンジニアはいます)エンジニアを抱える会社になっていたのですね。最近はフォン・バール自身の名前も、クレジットからは見かけられないようになっていますし、本当にこの会社はどうなってしまうのでしょう。これはリストラの結果なのか、あるいはこの5人は、沈みかけた船から逃げ出したのか、いったいどちらなのでしょう。
ここに収録されている「海」、「オーケストラのための『映像』」、「牧神の午後への前奏曲」の3曲は、ですからそれぞれ録音時期が違いますし、何よりも録音フォーマットが違っています。

「映像」を録音したシュピッツバースという人は、Take5には加わらなかったようですね。これを聴き比べると、やはり48/96で録っている「牧神」が、最も細かいところまでのニュアンスが良く感じられる録音になっていますが、そのあとはフォーマットの順ではなく、「映像」>「海」となっているのが面白いところです。これはフォーマットよりは録音機材の問題なのかもしれません。この世界は同じメーカーの製品でも進歩は著しいようですからね。
ですから、この中で比較すると「海」はほんとにしょぼい音ですが、2007年にリリースされた初出のSACDだともっとしょぼく聴こえます。マスタリングの技術も日進月歩ということなのでしょう。
そんな録音の違いのせいでしょうか、以前「海」で感じたようなアジア的なテイストは、あとの2曲ではほとんど感じられず、ひたすら静謐な、まるで墨絵のような淡い世界が広がっている様を味わうことが出来ました。

SACD Artwork © BIS Records AB
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by jurassic_oyaji | 2014-10-31 21:37 | オーケストラ | Comments(0)