おやぢの部屋2
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BERLIOZ/Symphonie fantastique
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Hansjörg Albrecht(Org)
OEHMS/OC 692(hybrid SACD)




このレーベルでのハンスイェルク・アルブレヒトのオルガン・ソロのアルバムは、これが10枚目になるのだそうです。そのことがこのSACDの帯で述べられていますが、このシリーズ全体のことを「オルガン・トランスクリプション集」とひとくくりにしているのは、実体を正確に反映しているものではありません。この中のバッハの「オルガン・ミサ」やプーランクの「オルガン協奏曲」などの作品は、これがオリジナルの形であって別に「トランスクリプション」ではないのですからね。
今回はベルリオーズのオーケストラの作品をオルガンのために編曲したものですから、まぎれもない「トランスクリプション」です。ワーグナーの「指環」で始まったこの本当の意味での「トランスクリプション」のシリーズ、今までは、キールの聖ニコライ教会のそれぞれ反対側にある2台のオルガンを1つのコンソールで演奏するという楽器が使われていましたが、なぜかここでは別の楽器が用いられています。それは、例えばクラウディオ・アバドが指揮をしたルツェルン音楽祭管弦楽団の映像などで頻繁に露出されている、ルツェルンの「カルチャー・コングレスセンター(KKL)」のコンサートホールに据え付けてあるオルガンです。
このセンターは、フランスの建築家ジャン・ヌーヴェルの設計によって1995年から2000年にかけて建設されたもので、この4段の手鍵盤、66のストップを持つオルガンは2000年の8月に完成しました。楽器制作にあたったのは、ルツェルンに1868年にフリードリッヒ・ゴルによって設立され、スイス国内だけではなくドイツでも数多くのオルガンを制作してきている「ゴル・オルガン製作所」です(帯にはオルガンについては「オルガン…アン・デア・ゴル=オルガン」という表記が見られます。これは、ブックレットにある「アルブレヒトは、ゴル・オルガンを演奏しています」という意味のドイツ語「Hansjörg Albrecht an der Goll-Orgel」の「an der Goll」という部分を、丸ごと制作者の名前だと思ってしまったのでしょう。とんでもなくアホな「帯職人」がおるがん)。
いや、そもそもこのブックレット自体にも、誤解を招く文章が載っています。この「ゴル・オルガン」の写真の下に、「このCDを録音している時に撮られた『いくつかのBilder』をYouTubeで見ることが出来ます」とあったので、録音している模様を写したPVでも見れるのかな、と思って行ってみたら、そこにあったのはただのオルガンの静止画でした。「Bilder」には「映像」という意味もありますし、まさかYouTubeで静止画はないだろうと思った私もアホだったのでしょうね。
いや、映像があるのかも、と思ったのは、もしかしたらここで演奏している「幻想」で使われている「鐘」がどこかに写っているのではないかという期待からでした。第5楽章の「Dies
irae」のテーマが現れる時にオリジナルでは「鐘」が叩かれますが、このオルガン版でも同じような何かを叩いている音がしっかり聴こえるのですよね。オルガンの仲間の「オルゴール」であれば、中にはそのような「打楽器」があらかじめ組み込まれているものがありますが、ストップ表を見てもそれらしいものは見当たらないので、いったいどのようにして音を出しているか興味があったのですよ。もちろん、その「静止画」では、「録音している時」には必ずどこかには写りこんでいるはずのマイクやケーブルなどは一切見つけることはできませんでした。
この曲の場合は、どうしても元のオーケストラと比べてしまいますが、オーケストラのメンバーが苦労して作り出すアンサンブルの妙が全く反映されていないベタな編曲には失望させられるばかりです。唯一、第3楽章の最後に現れるティンパニのロールが、いかにもオルガンらしい手法で処理されていて、的確に「雷」の描写になっているのだけは、感心しましたが。

SACD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2014-11-04 20:59 | オルガン | Comments(0)