おやぢの部屋2
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BRAHMS/The Symphonies・Orchestral Works
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Riccardo Chailly/
Gewanthausorchester
DECCA/478 7696(BA)




シャイーとライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団によって、2012年5月から2013年の5月まで、丸1年かけて録音されたブラームスの交響曲と管弦楽曲の全集です。管弦楽曲については有名どころの序曲と「ハイドン変奏曲」の他に、ピアノ曲の「間奏曲」をパウル・クレンゲルが編曲したものの世界初録音などという珍しいものまで含まれた、なかなか力の入ったものです。さらに、今まで誰も聴いたことのなかった交響曲第1番の第2楽章や、交響曲第4番のオープニングの異稿まで収録されているのは、さすがシャイーならでは。
そんなものが、2013年の秋に3枚組のCDとして、まずリリースされました。それは、分厚いブックレットと一体化したハードな装丁でしたが、CDがひどく取り出しにくいのと、やはりこのレーベルの録音をCDで聴くのは、ちょっと不安なところがあったので、なかなか聴く気にはなれず、1年もほったらかしておいたらなんと同じ内容が1枚に収まっているBAが出てしまったではありませんか。これなんですよね。CDを聴くのを躊躇していた最大の理由は。例えばこちらなどですでに、このレーベルは本来ならばBAなどで素晴らしい音を聴かせることが出来るのに、CDでは全くその片鱗もないつまらない音に変えてしまっていることを広く知らしめていたのですからね。今回のブラームスが、そのワーグナーの時と同じフィリップ・サイニーのエンジニアリングによるものでしたから、なおさらです。もし、ほぼ4時間をかけてこのCDを全部聴いてしまったあとに、このBAを聴いていたら、その4時間は全くの無駄でしかなかったと気づかされて、ひどく落ち込んでいたところでした。サイニーの華麗な「デッカ・サウンド」を堪能することは、もはやこのレーベルのCDではかなわないのですよ。
ですから、ハイレゾ・データで出ていることが分かった時点で、もうCDを聴くことは無意味だと思い、ひたすらBDが出るのを待っていた甲斐がありました。価格だって、このBDを買った時にはハイレゾ・データより1000円も安かったですし(さらに、CDよりもほんの少し安い価格でした)。
そんな素晴らしい音で、決して華美には走らないはずのこのゲヴァントハウス管弦楽団の音色が、特に弦楽器などがいともなまめかしく聴こえてくるのを味わうことは、まさに至福の一時でした。交響曲第1番から聴き進んでいって、交響曲第2番に入ったら、管楽器の音色が全く別物のちょっと渋いものに変わったことも、はっきり分かりますしね。これは、おそらくフルートのトップが別の人に替わったことが主な要因なのでしょう。
ところが、そんなあふれるように瑞々しいサウンドを堪能しつつも、シャイーが仕掛けてくる音楽のあまりの性急さには、ちょっとたじろがずにはいられませんでした。いったい、何をこんなに急いているというのでしょう。単にテンポが速いというだけではなく、まだ前のフレーズからしっかりとした終止感が与えられないうちに、いきなり次のフレーズが殴りこんでくるという乱暴というか、野蛮な音楽の作り方には、心底腹が立ってきました。その結果、そこからはブラームスには外すことが出来ないと個人的には思っている、深くかみしめるような情感がことごとく消え去っているのですからね。
ただ、交響曲第1番の第2楽章が、初演された時と同じ編成(10.8.4.4.4という弦楽器)、同じ楽譜で演奏されているテイクには、まさに資料的な価値が満載です。この編成によって、全くバランスが変わってしまったことが、はっきり録音から聴きとることが出来ますし、なによりも現行の楽譜とのあまりの違いには驚かされてしまいます。それは単に「手直し」をするという次元のものではなく、構成そのものを大幅に組み直して、テーマ間の連携関係まですっかり別物になってしまっているのですから。食後のケーキじゃないですよ(それは「別腹」)。

BA Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2014-11-10 20:42 | オーケストラ | Comments(0)