おやぢの部屋2
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NIELSEN/Symphonies Nos.4&1
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Alan Gilbert/
New York Philharmonic
DACAPO/6.220624(hybrid SACD)




このデンマークのレーベルは、ニューヨーク・フィルと共同でデンマークを代表する作曲家カール・ニルセンのオーケストラ作品の全集を作るというプロジェクトを、彼の生誕150年となる2015年の完成を目指して進めている最中ですが、その第1集であった交響曲第2番と第3番のアルバムを2年前にリリースしたっきり、何の音沙汰もないので、ちょっと心配になってきたところでした。過去に別の大レーベルで、リゲティの作品全集が途中で頓挫してしまったということがあったように、クラシックのレコード業界は何があってもおかしくないほどに不健全なものになっていますから、これも同じ道を・・・と思っていたら、やっと第2弾の交響曲第1番と第4番が出たので、まずは一安心です。
これは、すべてライブ録音によって作られるものですから、そもそも演奏会の曲目に入っていないことには話が進みません。今回の1番と4番が演奏されたのが今年の3月12日から15日までの4日間でした。同じプログラムを続けて4回も演奏するのですね。その時のプログラムはオール・ニルセン、まず序曲「ヘリオス」と交響曲第1番、休憩にエビセンを食べて交響曲第4番というものでした。これで弾みがついたのか、10月には第1週に序曲「マスカレード」、交響曲第5番、交響曲第6番、第2週には前半にフルート協奏曲(ソロはランジュヴァン)とヴァイオリン協奏曲、後半はチャイコフスキーの交響曲第2番というプログラムで、一気にノルマを消化してきましたよ。これらは、間違いなく来年中にはリリースされることでしょう。あとはクラリネット協奏曲をどこかで録音すれば、全集はほとんど完成ですね。
ニルセンの交響曲全集自体は、今までにいくらでもありましたが、全てがハイレゾのSACDというのは、今回が初めてです。いまいち主張がモヤモヤしてはっきりしないという印象のニルセンの作品ですが、おそらくこの卓越した録音で聴くことによって、その内部の「仕組み」のようなものまでが的確に伝わるようになっているのではないでしょうか。それを成し遂げたのは、いつものようにプロベン・イワンを中心にした録音チームです。そこのサイトを探したら、彼の写真が見つかりました。意外と若いんですね。

彼は、例によって「デッカ・ツリー」に3本「アウトリッガス」に2本のマイクを設置するというデッカ方式のマイクアレンジを採用していますが、そのマイクにはデッカが使っていたノイマンではなく、このチームのミッケル・ニマンドも開発に携わったDPAが使われていて、さらに透明性が際立つ仕上がりとなっています。
そんな録音で聴く「4番」(いわゆる「不滅」)は、まさに、このマイクアレンジのように指揮者の真上からオーケストラ全体を俯瞰している音像が広がり、もうあふれるばかりの新鮮な音のシャワーが楽しめます。弦楽器などは一人一人の音までもが聴こえてきそうな生々しさ、さらに、木管楽器もとても立体的に主張しているのが分かります。ですから、その木管が大活躍する「第2部」などは、まさに至福のひと時が味わえます。それに続く「第3部」の厳しさも、もろに受けとめるだけの体力が必要なほど。そして、エンディングで冒頭のテーマが戻ってきた時のとてつもない解放感には、完全に圧倒されてしまいます。これこそが、DXD→SACDというフォーマットの極限のサウンドです。
ところが、次の「1番」になったら、なんだか音が2ランクぐらい下がってしまったようになりました。全体がもやがかかったような鈍さに覆われ、あれほど聴こえてきた木管が完全に引っ込んでしまっています。これはおそらく「4番」とは別の日のテイクがメインになっているためなのでしょう。素晴らしい録音だけに、ほんのちょっとした加減でこんな風になってしまうのですね。もちろん、これでも十分の水準なのですが、「4番」を聴いてしまった後ではね。

SACD Artwork © Dacapo Records
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by jurassic_oyaji | 2014-11-12 21:05 | オーケストラ | Comments(0)