おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
中抜けの「シランクス」
 第9が終わるまでは出番がないので、別にニューフィルの練習に行く必要はないのですが、きのうは終わってからの委員会には出なければならないのでついでに春の演奏会の楽譜をもらいに、練習の最後にちょっと顔を出してみました。きのうは本番指揮者の寿一さんの最初の練習でしたから、ホールに入って行った時には張り詰めた空気が漂っていましたよ。とりあえず、この間買った望遠ズームを使って数ショット撮影です。なんだか、指揮者じゃないみたい。

 その時に置いてあったのが、まるで電話帳ぐらいの厚さのあるパート譜の山でした。春のレパートリーは、ちょっと選曲を凝ってみたら普通に手に入るパート譜だけでは足らなくて、全曲版の楽譜などあちこちから寄せ集めなければ全曲は揃わない、という状態になっていました。さらに、管楽器のパート譜はないというので、スコアを渡されてそこからパート譜を作るなんて作業もやらされましたからね。
 それを全パート分持ち帰って、今日はその製本です。今回のパート譜は、そんなわけであちこちから持ってきたり、その上順序が印刷通りではありませんから、「製本」の前にまず「編集」が必要になってくるのですよ。ものによっては別のところに入るべき曲が1つのページに入っていたりしますからねえ。そんな時にはもう一枚コピーをしなければいけなかったりします。
 私の場合は、今までのパート譜を全てA4のルーズリーフに両面コピーして保存してありますから、それだけでは済みません。殆どのオケ用のパート譜はA4には収まらないので、縮小コピーをしなければあいけないのですが、今回はその縮小の比率も物によって微妙に違いますから、その調整も必要なのですよ。そんな感じでやっていたら、全然仕事がはかどりません。まあ、第9が終わるまでには出来ているでしょうがね。
 実は、とても名の知られた音楽家が、とんでもないことをやっているのを知って、ちょっと情けなくなっているところです。なんでも、NHKの「家族に乾杯」という鶴瓶の番組に、2011年にベルリン・フィルに客演したというさる有名な指揮者が出演していたそうなのですよ。そもそもそんな人がこの番組に出ていること自体が「冗談」に思えるのですが、その人が、「全く初対面の人」たちと仲良くなったという設定の中で、フルートを演奏していたそうなのですね。実は、職場の人が、私のためにわざわざその部分を録画していてくれて、それを見せてくれたものですから、しっかりそれを見てしまいました。その人は、その「初対面の人」たちの前でミニコンサートみたいなものをやっていて、最後に「ちゃんとした曲」ということで、ドビュッシーの「シランクス」(その人は「シリンクス」と言ってましたが)を演奏したのですよ。それは録画で、それを見ながら鶴瓶が「これはほんまもんやな」とか言っていると、その人も、「これはほんまもんです」と返しています。
 確かに、専攻はフルートだというだけあって、その「シランクス」は立派なものでした。でも、最後まで聴いたのに、なんだか普通の「シランクス」よりかなり短いような気がしたので、もう1回、今度は楽譜を見ながらその録画を見てみたら、やはりその人はこの曲を大幅にカットして演奏していたことが分かりました。もちろん、それはあとで編集したものではなく、完全にその人の意志でカットされていたものでした。

 こんな感じで、赤枠の部分が丸ごとなくなっています。「君が代は、千代に八千代に、苔のむすまで」みたいなもんですね。こんな歌い方をされたら怒り狂う人がいるのと同じように、私にとってはこんな「シランクス」を演奏して「ほんまもんです」なんて言っている人には、憤りを感じてしまいます。おそらく、その場で聴いている人たちは100%この曲は知らないでしょうが、それだからこそ、手抜きではない「ほんまもん」の音楽を聴かせるというのが、この人のような立場にある音楽家の使命だったはずではないでしょうかね。いや、逆に、こんな人だから、この人が司会をやっている音楽番組があれほど空っぽなものになっているのでしょう。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2014-11-19 22:05 | 禁断 | Comments(0)