おやぢの部屋2
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DVORÁK/Symphonies 4&8
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Marcus Bosch
Staatsphilharmonie Nürnberg
COVIELLO/COV 91412(hybrid SACD)




日本では、いわゆる「ドヴォルザーク」を、よりネイティブに近い読み方で「ドヴォルジャーク」と表記しているのは楽譜業界ぐらいのものでしょう。そのドヴォルジャークの9つの交響曲の中で、スタディ・スコアが国内版で手に入るのは7番、8番、9番の3曲しかありません。そのぐらい、6番以前の交響曲は演奏される機会も録音される機会も極端に少ないのです。ですから、そのあたりのものを録音するとすれば、「全集」を作る時以外にはありません。その、最も新しい全集の制作を2012年から開始したマルクス・ボッシュによる3枚目のアルバムがリリースされました。今までは3、6、7番が出ていましたが、今回は4番と8番のカップリングです。
この同じレーベルで彼が2003年から2012年にかけてブルックナーの交響曲全集を作った時にはアーヘン交響楽団が演奏していましたが、ここでは2011年から音楽監督を務めているニュルンベルク州立フィルハーモニーの演奏です。
このオーケストラ、音を聴くのも名前を聞くのも初めてのことでした。確かにニュルンベルクは大都市ですからオーケストラがあってもおかしくはありませんが、このように録音されたものが世界中で発売されるということはほとんどなかったのでしょう。このオーケストラは、本来はこの街のオペラハウスのオーケストラで、コンサートを行う時にこのような名前に変わります。実は、ボッシュのポストも正確には「ニュルンベルク州立劇場とニュルンベルク州立フィルハーモニーの音楽監督」というものなのでした。ニュルンベルクがあるバイエルン州には4つの「州立劇場」があり、その中で、ここは有名なミュンヘンのオペラハウスに次ぐ規模を持っているのだそうです。
そのニュルンベルクにある「マイスタージンガーハレ」という、まさにワーグナーの同名の作品の「ご当地」ならではの名前を持つコンサートホールが、このSACDのライブ録音の会場です。大きなパイプオルガンを備えただだっ広い空間で、床は傾斜がなくまっ平という不思議なホールです。そこに座席は固定されてはおらず、コンサートの時にはわざわざ椅子を並べるのですね。しかし、この録音では残響も美しくとても柔らかな音に仕上がっていますから、音響的にはなかなかのものなのではないでしょうか。
実は「4番」をきちんと聴くのはほとんど初めてのことでした。改めて聴き通してみると、ドヴォルジャークとワーグナーとがこれほど近くにあったのか、という思いにとらわれてしまいました。いや、実は彼の晩年に作られた歌劇「ルサルカ」を聴いた時にも、その、まさにワーグナーの手法で作られた音楽には、かなりのショックを受けたものですから、彼の中のワーグナーは、生涯の水脈だったのでしょう。ほんと、この交響曲の、特に第2楽章と第4楽章で露骨に現れるワーグナーの引用には、笑うしかありません。
同時に演奏されたはずの「8番」では、そんな「4番」の延長線上にこの作品があるのだ、というアプローチが感じられます。ですから、これを聴いて殆ど「民族的」なテイストを見出すことが出来ないからといって、失望するのは無意味なことです。これはとことん、楽譜の情報にしたがってきっちりと「ロマン派」の様式で演奏されたものなのですから。そういう意味で、この前のホーネック盤のような主観をむき出しにした演奏とは対極に位置するものです。
その楽譜ですが、ドヴォルジャークの場合、例のジョナサン・デル・マーによるベーレンライターのクリティカル・エディションの刊行はまだ緒に就いたばかりで、現在は「7番」しか出版されていません。ここでボッシュが使っているのはおそらく同じベーレンライターでもスプラフォン時代の楽譜(いわゆる「プラハ版」)でしょう。どうせなら、デル・マー版が全部出るまーで待ってから録音してほしかったものです。

SACD Artwork © Coviello Classics
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by jurassic_oyaji | 2014-11-24 20:10 | オーケストラ | Comments(0)