おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MOZART/Così fan tutte
c0039487_19562674.jpgSimone Kermes(Fiordiligi), Malena Ernman(Dorabella)
Christopher Maltman(Guglielmo), Kenneth Tarver(Ferrando)
Anna Kasyan(Despina), Konstantin Wolff(D. Alfonso)
Teodor Currentzis/
Musicaeterna
SONY/88765466162




「フィガロ」に続く、クレンツィスのダ・ポンテ三部作の第2弾がリリースされました。残りの「ドン・ジョヴァンニ」も来年秋には出来上がるとか、なかなか順調にことが運んでいるようです。やはり、あの「フィガロ」を聴いてしまっては、いくらCDが売れない時代とは言っても、出さざるを得なくなってしまうのでしょう。いいものさえ作れば、きっちり評価されるという風潮がまだ残っているのはうれしいことです。別のメジャー・レーベルでやはりモーツァルトのオペラの全集(選集)が進行中だったはずですが、2作目の「コシ」以来、とんと音沙汰なしなのとは対照的です。
今回の、やはり「コシ」も、前作と同じく、殆ど対訳で出来ている分厚いブックレットの中にCDが入っているという装丁、デザインも色違いで同じものが使われています。きっと、「ドン・ジョヴァンニ」も間違いなく同じデザインで別の色でしょう。こちらはなんたって色気違いの話ですからね。
と、お揃いのパッケージではあるのですが、何かが足りません。そう、「フィガロ」ではおまけとして同封されていたBAがここには入っていなかったのですよ。これは、まさに予想通りのことでした。あの頃のSONYのBAに対する盛り上がりは、いったい何だったのでしょう。仕方がないので、ノーマルCDで聴いてみましたが、やはりそのショボさにはガッカリさせられてしまいます。
とは言っても、このチームの演奏のテンションの高さは、そんなレーベルの気まぐれに左右されるようなことはなく、全く変わってはいませんでした。とにかく序曲のテンポの速いこと、「ミソファミレドシド」という管楽器の掛け合いなどは、もう崩壊する一歩手前、顔を真っ赤にして吹いているさまが見えるようです。しかし、レシタティーヴォが始まると、そこは雄弁な通奏低音に乗っての生き生きとしたドラマが展開されることになります。ただ、今回もハーディ・ガーディがクレジットされていますが、いったいどういう使われ方をされているのか、ちょっと分かりませんでした。
そして、なによりも素晴らしいのが今回のキャスティングです。よくもこれほど粒ぞろいのソリストを揃えたものだと、驚いてしまいます。もちろんそれぞれに上手なのは当たり前なのですが、それが適材適所なのがうれしいところです。よく、2人の姉妹の声が似ていて、いったい今歌っているのはどちらなのか分からなくなってしまうという状態に陥ることがありますが、ケルメスとエルンマンは、見事にタイプの違う声ですからそんなことはありません。その上、それが二重唱になると見事に融け合っているのですからね。このケルメスという人、最初に聴こえて来た時にはなんと頼りない声、と思ってしまったのですが、どうしてどうして、曲が進んでいくとびっくりするような表現力の広さでした。要は、「ちょっと奥手な姉が、次第に大胆になっていく」というドラマの過程を見事に演じていたのですよ。エルンマンの方は、最初からちょっとあばずれ、でしょうか。
もう一人、感服してしまったのが唯一のテノールのロールを歌っているケネス・ターヴァーです。この人はこちらのドン・オッターヴィオを聴いてとても感心したことがありますが、ここではまさに打ちのめされた感じ、彼は理想的なモーツァルト・テノールですね。特に、「Un'aura amorosa」での完全にコントロールされたソット・ヴォーチェは、言いようのない感動を与えてくれます。やっと、ペーター・シュライヤーを超える人が出てきました。
それにつけても、このフェランドはBAだったら、もっともっと素晴らしく聴こえるはずなのに、と思いながら聴き続けているのは、並大抵のストレスではありません。ハイレゾ配信もないようですし、困ったものです。

CD Artwork © Sony Music Entertainment
[PR]
by jurassic_oyaji | 2014-12-10 19:59 | オペラ | Comments(0)