おやぢの部屋2
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竹内まりや
MOON/WPJL-10016/7(LP)




竹内まりやがかつてはアイドルだったなんて、今では知る人もいなくなってしまいました。一応1978年にデビューした時には、れっきとしたアイドルだったんですけどね。「紅白」こそは出ませんでしたが、当時の歌番組には毎週出演して、ヒット曲の「不思議なピーチパイ」なんかをミニスカート姿でキャピキャピ歌っていたものでした。同じ年にデビューしたアイドルでは、石川ひとみ、石野真子(石巻出身・・・ウソです)、杉田かおる、畑中葉子なんかがいましたね。
今ではそういう「元アイドル」たちが活躍している場が、「歌番組」ではなく「バラエティ」というのが、悲しいですよね。「アイドル」というのは、いくら年をとっても「使い捨て」でしかないのでしょう。ですから、まりやがそういう道を自ら絶って、1982年にスッパリと歌手活動から退いた、というのは、なんとも潔い決断でした。
しかし、それから2年後、彼女は全くリニューアルした姿で音楽シーンに戻ってきました。かつては、世のアイドルの習いとして、他の職業作曲家、作詞家が作った曲を歌っていたものが、その時に発表されたアルバムには全て自分で作詞・作曲を手がけた曲を自ら歌ったものが収録されていたのです。たった2年で、彼女は「アイドル」から「シンガー・ソングライター」へと変貌していたのでした。というより、その時に彼女は本来「アイドル」ではなかったことを、世に知らしめたのです。
その時リリースされた記念すべき彼女の「ファースト・アルバム」が、今年で発売から30年経ったということで、最新のリマスターが施され、多くのボーナス・トラックも加えられた形でのCDがリイシューされました。そして、嬉しいことに、同時にLPもリリースされたのです(こちらにはボーナス・トラックはありません)。
このアルバムが最初に発売された1984年と言えば、まさにCDの黎明期でした。クラシックではその1年前にはCDが発売されていましたが、ポップスでの「CD化」は少し遅れていたようで、まだまだポップス・ファンにとってはCDは縁遠いものという状態だった頃なのでしょうから、もちろんこのアイテムもまずはLP、そしておまけみたいな形でCDが発売されていました。もちろん、「これからはCDの時代だ」と信じて疑わなかったものとしては、1枚3800円もするCDをありがたがって購入していました。

皮肉なことに、それから30年後には、そんな「CD信仰」は世の中からは消え去っていました。そして、かつては片面に6曲も詰め込んで1枚のLPだったものが、もっと余裕を持ったカッティングで内周歪みがかなり回避された2枚組という形でリリースされていました。それでも、かつての初出CDとほぼ変わらない値段ですから、何の抵抗もありません。音はもちろんですが、実際は目にすることがなかったオリジナルLPのアートワークがやっと楽しめるようになったのには感激です。なんせ、初出CDのブックレットなんて、こんなしょぼさですからね。

今回のLPも、カッティングは以前の山下達郎のLPと同じ小鐵徹さんです。その時にはちょっとしたトラブルがあったものが、今回は完璧な仕上がりです。カッティング・レベルが高いために、サーフェス・ノイズがヘッドフォンでも全く聴こえないというすごさです。もちろん、今回比較した2008年リマスタリングのベスト・アルバムの音など問題にならないような解像度の高さと繊細さには、改めてCDの限界を知らされるだけです。長年聴いてきた「もう一度」の「いつしかー」とか「私をー」といったところでファルセットを使っているなんて、このLPで初めて気づいたぐらいですから。
そんな「いい音」で全曲聴きなおしてみると、いまさらながらこのアルバムの完成度の高さが分かります。タイトル通りのとてつもないほどの多様性、これは、最近のアルバムでは失われてしまっているのだと、改めて思わされてしまうのが、とても残念です。

LP Artwork © Warner Music Japan Inc.
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by jurassic_oyaji | 2014-12-12 21:33 | ポップス | Comments(0)