おやぢの部屋2
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PROKOFIEV, HINDEMITH, LAUBER, MARTIN/Flute Sonatas
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Karl-Heinz Schütz(Fl)
赤堀絵里子(Pf)
CAMERATA/CMCD-99081




来年のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートはメータが指揮をするのだそうですが、さるレコード会社のFacebookを見ていたら「2015年ニューイヤー・コンサート・プログラム(指揮:メータ)」などというタイトルでNMLのプレイリストがリンクされていました。普通こういうタイトルだとメータがウィーン・フィルを「指揮」した今度のニューイヤー・コンサートの音源が聴けると思ってしまうじゃないですか。でもそこで聴ける音源は、全てNMLで提供されている別の録音ばかりでしたよ。当たり前の話ですね。でもここで、「指揮:ナータ」ぐらいのことをやってくれれば、笑って済ませられたのに。
そのニューイヤー・コンサートの中継の楽しみの一つが、管楽器のトップが誰なのか、というものではないでしょうか。例えばウィーン・フィルのフルートには現在はフルーリー、アウアー、シュッツという3人の首席奏者がいますが、それが毎年変わるので、それだけでオーケストラの音色まで変わってしまうのですよね。今度は、誰が「出番」なのでしょうか。
ここに書いた3人の順序は、ウィーン・フィルの公式サイトのメンバー表と同じで、おそらくこのポストの在任期間が長い順なのでしょう。ただ、これはあくまで私見ですが、今の時点では「腕」の順番はちょうどこの逆になっているような気がします。
そんな、今までのアンサンブルのCDを聴いた限りでは間違いなくウィーン・フィルの中では最高の演奏を聴かせてくれていたカール=ハインツ・シュッツのソロ・アルバムが登場しました。ただ、これは2011年と2012年に録音されたもので、おそらくシュッツ自身がプロデュースしてリリースしたCDの音源を日本のメーカーが買い取って、自社製品として再リリースしたものです。4人の作曲家の代表作が収められています。
まずは、プロコフィエフのソナタです。ヴァイオリン・ソナタとしても知られていますが、こちらの方がオリジナルです。第1楽章のテーマがずいぶんとおとなしい感じだったので、ちょっと意外だったのですが、しばらく聴いているとそれは意図的に抑えた表現であることが分かります。続く展開部になったとたん、フルートの音色がまるで変っていたのですよね。特に低音が、それまではほんのりとした柔らかい音だったものが、とても鋭角的でエネルギッシュなものに瞬時に変わってしまったのですよ。こんな見事な使い分けができる人なんて、なかなかいませんよ。しっとりとした第3楽章も素敵。特に三連符だけのフレーズでの低音のピアニシモなどは、この世のものとは思えないほどの美しさです。そして、その演奏は決して感情に溺れることはなく、冷静に自分自身を見つめてコントロールしているもう一人の自分の姿がはっきり感じられるという、とても次元の高いものなのですから、すごいです。
ヒンデミットのソナタも、これまで聴いてきた演奏で与えられた「なんてつまらない音楽なんだ」という印象を根本から覆すような鮮やかなものでした。
ところが、次のヨゼフ・ラウバーという初めて聴くスイスの作曲家のソナタになったら、音がガラリと変わっていました。アルバムの中でこれだけ2011年の録音で、会場もエンジニアも他の曲とは異なっているせいなのですが、これがあまりにもひどい音なのですよ。ピアノはまるでおもちゃみたいな安っぽい音ですし、フルートも妙にキンキンしていて、さっきまでの繊細さなどは全く伝わらない乱暴な音に録れていたのです。曲自体は後期ロマン派の音楽にフランス印象派の要素が少し加わっている、とても技巧的なものですから、これからはリサイタルなどでは需要が出てくるのではないでしょうか。
最後のマルタン(実は、ラウバーの弟子)の「バラード」も、多くの凡庸な演奏とは一線を画した、考え抜かれた表現と、それを音にできるスキルが融合した素晴らしいものでした。

CD Artwork © Camerata Tokyo, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2014-12-18 20:41 | フルート | Comments(0)