おやぢの部屋2
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MOZART/Piano Concerto No.27, BRAHMS/Symphony No.2
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Emil Gilels(Pf)
Karl Böhm/
Berliner Philharmoniker
TESTAMENT/SBT2 1499




カール・ベームとベルリン・フィルとの1970年のザルツブルク音楽祭での録音が、初めて世に出ました。年代とオーケストラを見てピントきた方もいるかもしれませんが、これはジェームズ・ゴールウェイが参加しているコンサートです。この日のプログラムはモーツァルトの交響曲第28番とピアノ協奏曲第27番、そしてブラームスの交響曲第2番です。モーツァルトの交響曲にはフルートがありませんからゴールウェイの出番はないのですが、残りの2曲では彼の演奏を聴くことが出来ます。ですから、おなじみ「Galway in Orchestra」あたりではすでにリストアップされているのでは、とお思いでしょうが、確かにピアノ協奏曲では海賊盤がありましたが、ブラームスに関してはこれが正真正銘の初音源となります。もちろん、これはオーストリア放送協会の放送用公式音源で、それに定評あるTESTAMENTによるきちんとしたリマスタリングが施されたものです。ほんと、以前もカラヤンとの録音がリリースされたりしていて、このレーベルには足を向けて眠ることなどできません、と持ちあげて・・・(それは「ゴマスリング」)。
ゴールウェイが在籍中のベルリン・フィルの録音といえば、もちろんカラヤンとのものが圧倒的に多いのですが、ベームとの録音もごくわずかですが残っています。DGからの正規CDとして最も有名なのは、同じ1970年に録音されたモーツァルトの「ポストホルン・セレナーデ」でしょうね。この中で聴けるソロは、まさに絶品です。それと、シューベルトの交響曲全集の中で、最後の1971年に録音された地味な2番、3番、4番、6番といったところでしょうか、有名な曲は、その前に前任者のツェラーが録音してしまっていたのですよね。
1970年の8月15日に行われたコンサートの会場は、祝祭大劇場でした。ここはもっぱらオペラの上演用に作られたホールですから、コンサートとしての響きはそれほど豊かではありません。そこへもってきて、おそらくマイクアレンジも個々の楽器が強調されるようなものだったのでしょうから、前半のモーツァルトはかなり鋭角的な音で録音されています。中でも弦楽器はもろに生の音が聴こえてきて、ふくよかさの全くない貧しい音ですから、ちょっと印象は良くありません。ピアノ協奏曲でのギレリスのピアノの音も、なんかむき出しの打鍵の音がそのまま聴こえてくるような乱暴な音に聴こえます。
ですから、その中でのゴールウェイの音も、何か「裸」でさらされているようなゆとりのない音のように聴こえてしまって、ちょっと辛いものがあります。演奏しているゴールウェイも、ちょっと窮屈そうな感じがしますが、本当はどうだったのでしょうね。
しかし、後半のブラームスでは、編成が大きくなったせいなのか、きっちりオーケストラとしてのまとまりのある響きが聴かれるようになっていました。こうなれば、ゴールウェイのフルートは本領を発揮、あの輝かしい音と、有無を言わせぬフレージングで、オーケストラ全体をリードしていっているのがはっきりわかります。
ベームも、この頃はまだまだエネルギッシュな推進力は健在でしたから、ゴールウェイの煽りにたじろぐことはありません。終楽章などは、まさに炎のように燃え上がるエンディングに向かって、まっしぐらの快演です。ほんと、フルート一本でこれほどオーケストラをリードできるフルーティストなど後にも先にもいないのではないかと、改めて感じさせられますよ。こんな録音を聴いてしまうと、今のオーケストラのメンバーはなんて小粒になってしまったんだ、と思わずにはいられません。
そのゴールウェイも、先日75歳の誕生日を迎えました。ネットでは、そのお祝いのテレビ番組を見ることが出来ますが、そこにはそんな100人のオーケストラの中でもとびぬけた存在感を誇っていたかつての彼の姿はありませんでした。

CD Artwork © Testament
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by jurassic_oyaji | 2014-12-24 21:54 | オーケストラ | Comments(0)