おやぢの部屋2
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PLEYEL/Flute Quartets
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Pál Németh(Fl)
Piroska Vitárius(Vn)
Gergely Balázs(Va)
Dénes Karasszon(Vc)
HUNGAROTON/HCD 32727




1757年に生まれたイニャス・プレイエルは、モーツァルトとは1歳しか年の違わない、いわば「弟分」にあたりにゃす。とは言っても実際に師弟関係にあったわけではありませんが、お互いに同時代の作曲家として注目し合っていたことは間違いありません。プレイエルはモーツァルトのピアノ・ソナタやヴァイオリン・ソナタを弦楽四重奏に編曲して出版していますし、モーツァルトが父に送った手紙の中でプレイエルのことを褒めているくだりは有名です。その1784年の手紙では、「最近、プレイエルとかいうハイドンの弟子の弦楽四重奏曲が出版されましたが、もしまだご存知なければ、ぜひ入手することをお勧めします。ちょっと苦労するかもしれませんが、それだけの価値はありますよ。それは、とてもよく書けていて、心地よい音楽です」と、なかなか同業者を褒めることのないモーツァルトにしては異例の持ち上げようです。
プレイエルの作品については、1977年に出版された、リタ・ベントンという人が作った作品目録によって付けられた作品番号が、最近では広く使われています。普通は「Ben」という略語であらわされます。これは、ケッヒェルのような年代順の通し番号ではなく、ジャンル別につけられたもので、スタートは101番ですが、別のジャンルに移る時には途中を飛ばして次の10番台になるという形を取っています。つまり、101番からの「単一楽器のための協奏曲」は8曲しかないので、次の「協奏交響曲」は111番から始まる、という具合です。おそらく、新しい作品が発見されても間に入れられるようにとの配慮なのでしょう。
モーツァルトが褒めた「弦楽四重奏曲」は、301番から始まって、370番まで続きます。そのあと、381番からは、その他の楽器による「四重奏曲」が始まります。今回のCDでは「フルート四重奏曲」が6曲演奏されていますから、その中の曲なのでは、と思ってしまいますが、そのベントン番号は319番から324番まででした。つまり、もともとは1786年頃に作られた弦楽四重奏曲だったものを、フルート四重奏曲に作り直したものなのですね。
当時はなんと言ってもアマチュアの市民が家庭やサロンで演奏するという需要が多かったでしょうから、同じパートをヴァイオリンでもフルートでも演奏できるような配慮は欠かせなかったのでしょう。先ほどの「四重奏曲」の中には「フルートまたはヴァイオリン」というパート指定のものも見られます。ただ、この曲の場合は、一応弦楽四重奏のために作られていますから、重音を単音にしたり、フルートでは出ない音域を1オクターブ上げたり、伴奏にまわった部分ではセカンド・ヴァイオリンのパートと差し替えたりといった細かい手直しがあちこちに加えられています。
ここで演奏しているのは、指揮者としても幅広く活動しているフルーティストのパール・ネーメトを中心にしたハンガリーの音楽家たちです。ネーメトが使っているのは明らかにベーム・システムではない木管のマルチ・キーの楽器、ただ、ピッチはモダンのA=440Hzあたりになっています。おそらく、弦楽器もピリオドではないまでもガット弦あたりにはなっているのではないでしょうか、素朴なフルートの音色によく溶け合う響きが作られています。
全く初めて聴いた曲ばかりですが、その中にはまさにモーツァルトの時代の雰囲気が存分に漂っていて、とても懐かしい思いにさせられるものでした。いや、正直、モーツァルトそのもののフレーズなども耳をよぎり、この作曲家の作風があくまで時代の様式を超えていない穏健なスタイルであることがうかがえます。ただ、展開部でいきなり短調に変わるといったような、それなりの「個性」もなくはありません。
ネーメトのフルートは、そんな様式を、ピッチのあいまいさまで含めて再現しているようでした。和みます。

CD Artwork © Fotexnet Kft.
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by jurassic_oyaji | 2015-01-04 20:00 | フルート | Comments(0)