おやぢの部屋2
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VERDI/Requiem
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Krassimira Stoyanova(Sop), Marina Prudenskaja(MS)
Samir Pirgu(Ten), Orlin Anastassov(Bas)
Mariss Jansons/
Chor und Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
ARTHAUS/108 136(BD)




同じ演奏家による同じ曲のCDが出た時に、「クリスマス・プレゼントに贈ってくれる人でもいればいいのですが」と書いた別の会場で録画されたBDが、本当にプレゼントされてしまいましたよ。クリスマスには間にあいませんでしたが、まあ格好の「お年玉」でしょうか。言ってみるものです。
これが録画されたのは2013年10月14日。ということは、ミュンヘンでCDに録音されたコンサート(あるいはリハーサル)は同じ年の10月7日から11日までの間に行われていたので、その直後にそのまんまのメンバーでウィーンまで移動して、このコンサートに臨んだのでしょう。
その、「ニューイヤー・コンサート」で有名なムジークフェライン・ザールは、そんなお正月の恒例行事の時のような華やかな装飾は一切排除された、とてもストイックな姿を見せていました。照明も心なしか暗め、このホールはよく「黄金のホール」とか呼ばれたりしますが、この映像で見る限りまるで「漆黒のホール」のように思えてしまいます(このホールに関してはもっと書きたいのですが、しつこくなるのでこれ以上はやめておきましょう)。
ただ、ステージはかなり狭いので、合唱は80人足らずとちょっと少なめですが、かなり窮屈に見えます。そして、彼らが持っている楽譜はペータース版の新品のヴォーカル・スコアでしたが、指揮者のヤンソンスが使っているのは、使い古されてまるで古文書のように紙が黄ばんでいるフル・スコアでした。もしかしたら、お父さんから譲り受けたのでは、と思えるほどの年季の入ったもので、それだけでも彼がこの作品に長い間関わっていることがうかがえます。
その合唱は、CDで聴いたのと同じ種類の、とてつもない緊張感を与えてくれるものでした。ひとつひとつの言葉をかみしめるように歌う様子は、さらに強く伝わってきます。ところが、映像で彼らの歌う姿を見ていると、普段見慣れている合唱とはなにかが違います。その違いがどこからきているのかは、すぐに分かりました。彼らは、とても自然な顔つきで歌っているのですね。日本の、例えば「Nコン」に出てくるような合唱団を見ていると、はっきり言ってとても「愉快」な顔つきで歌っています。昔「うた魂」という、そういう人たちを描いた映画の中で主人公は歌っている時の顔を「シャケが産卵している時の顔」と言われて落ち込むのですが、そんな感じで大きな口を開けて顔中をゆがめて歌う、というのが、よく見る合唱の姿なのですよ。ところが、バイエルン放送合唱団のメンバーたちは、そんな「不自然」な顔つきには全然なっていません。それは、彼らが「口を大きく開ける」という、ほとんど合唱の常識のように思われていることを殆ど行っていないからです。それでいてこんなにすごい演奏が出来てしまうのですから、これはある意味カルチャー・ショック、もしかしたら日本の合唱界は、なにか大きな間違いを犯しているのではないか、という思いに駆られてしまいます。
映像ならではのお楽しみは、こんなショット。

なんと、グスターヴォ・ドゥダメルがこのコンサートに来ていたのですね。
ホールやマイクアレンジの違いなのか、あるいはCDとBDとの音声スペックの違いなのか、音はCDとは全然違っていました。こちらの方がよりリアルに楽器や声が聴こえてきます。CDで酔いしれたピルグの声も、ファルセットと実声との微妙なブレンドの塩梅まで手にとるようにはっきり分かります。
おそらく、この音は他のソースでもかなりのクオリティを示しているはずです。実際、「おまけ」としてヤンソンスの他の映像のトレーラーが入っていますが、そこでのベートーヴェンの交響曲の音は、BSで放送された同じものと比べると雲泥の差でしたから。これは間違いなく圧縮音源とLPCMとの違いでしょう。もし、「エアチェック」したものが手元にあったとしても、本当に「良い音」で聴きたい人は、このBDを買うべきです(これだけもちあげれば、なにかが期待できそう)。

BD Artwork © Arthaus Musik GmbH
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by jurassic_oyaji | 2015-01-08 21:10 | 合唱 | Comments(0)