おやぢの部屋2
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STRAUSS/Ein Heldenleben, Varèse/Amériques
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Ingo Metzmacher
Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
CHALLENGE/CC72644




以前ご紹介した佐渡裕のサントラ盤で演奏していたのが、今回と同じ「ベルリン・ドイツ交響楽団」でした。いまだに知名度があまり高くない団体ですが、かつては「RIAS放送交響楽団」と呼ばれていた、1946年に創設され、数多くの録音で知られるオーケストラが改組されたものです。正確には、1956年に「ベルリン放送交響楽団」と名前を変え、さらに東西ドイツが統一した際に、旧東ドイツに同じ名前の団体が有ったことから1993年から現在の名称となっています。面倒くさいですね。
ただ、このかつて同じ名前だった東西の2つのオーケストラは、ベルリン放送合唱団とRIAS室内合唱団とともに「Rundfunk Orcherter und Chöre GmbH(roc berlin)」という組織に属していて、株主であるするドイツランド放送とベルリン・ブランデンブルク放送へ音源を提供しています。
このCDは、昨年リリースされたものですが、録音は2007年にドイツランド放送によって行われています。ベルリンのフィルハーモニーで2日間にわたって録音されたとデータにはありますが、客席ノイズが全く聴こえないので、もしかしたら放送のためだけにセッション録音されていたのかもしれません。この年はメッツマッハ―が首席指揮者/芸術監督に就任した年になります(2010年には離任)。
ここで演奏されている「英雄の生涯」と「アメリカ」では、それぞれ「初稿」が用いられています。しょこが、メッツマッハ―ならではのこだわりになるのでしょう。シュトラウスの「英雄の生涯」の場合は、その大きな違いはエンディングで確かめることが出来ます。現行版では、ヴァイオリン・ソロとホルン・ソロの掛け合いの中、静かに終息したかと思うと、最後にもう一くさり盛り上がって終わる、という形になっていますが、初稿では静かなまま消え入るように終わります。
それだけではなく、ここでのメッツマッハ―の演奏は、あちこちで聴きなれたはずのこの作品から、新たな発見を気づかせてくれるものでした。まず驚いたのが、コントラバスだけが独立して刻んでいるシンコペーションのリズムがあちこちではっきり聴こえてきたことです。普通はオケ全体の中で埋もれてしまっている声部ですが、メッツマッハ―はことさらこのパートを強調して聴かせています。これによって、音楽の印象がかなりリズミカルなものに変わるから、不思議です。
さらに、勇ましい「英雄のテーマ」が弦楽器と管楽器、あるいは音域の異なる弦楽器同士がユニゾンで演奏している時には、それがことさら分離されて聴こえるようなバランスを取っているのも、スリリング。言ってみればかなりノーテンキなところのあるこのテーマが、必ずしも一筋縄ではいかないことをあらわしているようです。そんな、常に各方面に神経を張り巡らしていないと乗り遅れてしまうような、波乱万丈の「生涯」が、ここでは体験できるはずです。
ヴァレーズの「アメリカ」は、当初142人が必要だった編成を120人で済むように「小さく」したものが改訂版だとライナーには書いてありますから、ここではそのぐらいの大人数で演奏されているのかもしれません。ただ、ここでは人数よりもバンダの有無とか使われている特殊な「楽器」の違いなどの方が大きな要因のはずです。さらに、編成だけではなく音楽そのものもかなり「刈り込んで」いるようなので、そこもチェックが必要でしょう。とは言っても、この録音は逆に人数を「減らした」のではないかと思われるほどの、コンパクトで締りのよいサウンドを味わうことが出来ます。常々「やかましい」というイメージがあったものが、ここからはもっと各パーツが明確に主張し合っている確かな「ポリフォニー」が聴こえてくるのです。
これで、このレーベルの他のアイテムのようにSACDであったなら、それぞれのパーツのテクスチャーまでもきちんと味わうことが出来たことでしょう。

CD Artwork © Deutschelandradio & Challenge Classics
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by jurassic_oyaji | 2015-01-24 21:17 | オーケストラ | Comments(0)