おやぢの部屋2
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BERIO/Sinfonia, Calmo, Ritirata Notturna
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Verpi Räisänen(MS), Mirjam Solomon, Annika Fuhrmann(Sop)
Jutta Seppinen, Pasi Hyökki(Alt)
Simo Mäkinen, Paavo Hyökki(Ten)
Taavi Oramo, Sampo Haapaniemi(Bas)
Hannu Lintu/Finnish Radio Symphony Orchestra
ONDINE/ODE 1227-5(hybrid SACD)




フィンランド放送交響楽団とともにリゲティメシアンと、前世紀の音楽を牽引してきた作曲家の作品を録音してきたリントゥが、今回はベリオのアルバムを作ってくれました。これらの、もはや「現代音楽」とは言えないほど多くの聴衆を獲得している作品たちに、リントゥはまた斬新なアプローチを見せてくれるのでしょうか。
ここで彼が取り上げたベリオの作品は、もはや「古典」と言っても構わないほどの人気を誇る1969年の作品「シンフォニア」をメインに、1970年代の「夜警の行進」と「カルモ」という3つでした。このうちの「夜警」は、ボッケリーニの作品(弦楽五重奏曲Op30-6の最後の楽章)をそのままオーケストラのために編曲(オーケストレーション)して、そこにさらに11の変奏を続けた一種の「変奏曲」ではあるのですが、これの日本語タイトルが、例によって意味不明。なぜ「4つの変奏」なのでしょう。

どうやら、これを作った人(販売元のNaxos Japanから依頼された「帯職人」)は、オリジナルのタイトル「Quattro versioni originali della Ritirata Notturna di Madrid di L. Boccherini」にある「versioni」を「variation」と読み違えてしまったのでしょう。「誤訳」というのも恥ずかしいほどのお粗末な話ですね。これは本当は「4つの版」、べリオはこのオーケストラ版のほかに、あと3つの「版」を作った、ということなのでしょうね。
これは、まるで「ボレロ」のように、聴こえるか聴こえないほどのスネア・ドラムに導かれて「11の変奏」が展開されるというものですが、ラヴェルと違うのは真ん中で盛り上がった後は、また最初のような静けさを目指してだんだん小さな音になっていく、という点です。一見、単なる古典的なオーケストレーションのようで、それこそ「聴こえるか聴こえないほど」のあり得ない和声が各所に潜んでいますから、油断は禁物です。そんなことにサラッと気づかせてくれるリントゥは、さすがです。
次の「カルモ」は、べリオの友人であったブルーノ・マデルナの死を悼んで作られたものです。これは、「あの時代」のテイストが満載の「難解な」音楽ではありますが、メゾ・ソプラノ・ソロのライサネン(これも、帯の日本語表記はウソ)のふくよかで温かい声からは、「今の時代」ならではの包容力が伝わってくるはずです。もちろん、その中からは、作曲家が目指したであろう鋭角的なメッセージも受け止めることは可能です。
「シンフォニア」は、ご存知のようにニューヨーク・フィルからの委嘱によって作られたものですが、作曲者はソリスト群としてスウィングル・シンガーズを想定していました。ですから、彼らが演奏する時にはそれぞれマイクを持って歌っていますし、オーケストラの中には「電子チェンバロ」や「電子オルガン」などといった電子楽器も含まれています。ピエール・ブーレーズが1984年に録音した時には、スウィングル・シンガーズは初演当時とはメンバーも替わり、名前も「ニュー・スウィングル・シンガーズ」となっていましたが、おそらく彼らは、例えば武満の「ノヴェンバー・ステップス」での横山・鶴田チームのように、この曲が演奏される時には必ずソリスト群として登場していたのでしょう。確か、1995年に東京で開催された「ブーレーズ・フェスティバル」でこの曲が演奏された時にも、彼らが参加していたはずです。
しかし、現在では他のソリストでもこのパートが任されるようになってきました。このSACDで歌っているのは、いわゆる「合唱団」ではなく、この録音のために集まった人たちなのでしょう。聞いたことのない名前ばかりだな、と思ったら、その中にパシ・ヒョッキが「アルト」として参加していました。こちらで紹介していた「ソプラニスタ」ですね。ちなみに、もう一人のアルトのユッタ・セッピネンという人は女性です。お化粧をしなくても美しい人ですね(それは「スッピンね」)。

SACD Artwork © Ondine Oy
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by jurassic_oyaji | 2015-01-26 21:16 | 現代音楽 | Comments(0)