おやぢの部屋2
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MAHLER/Symphonien 3/5
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Marjana Lipovsek(Alt)
Zubin Mehta/
Wiener Sängerknaben
Frauenchor des Wiener Singverein
Bayerisches Staatsorchester
FARAO/A 108087(BD-A)




メータがバイエルン州立歌劇場管弦楽団と録音したマーラーの「3番」と「5番」が、1枚のBD-Aになってリリースされました。このところ、このフォーマットに熱心なFARAOレーベルですが、この路線をぜひとも邁進していってほしいと、心から願っています。「3番」は2004年9月に、ウィーンのムジークフェラインザールで録音されたもので、2005年の初頭にはもうSACDとしてリリースされていましたね。もう一方の「5番」は2008年の12月に、本拠地の州立歌劇場での録音、やはりSACDで2009年にリリースされています。メータがこの歌劇場の音楽監督を務めていたのは1998年から2006年まで(そのあとを継いだのが、ケント・ナガノ)でしたから、「3番」はヨーロッパ・ツアーの時の録音ですが、「5番」は客演という立場での共演でした。
いずれもまだ聴いたことがなかったので、BD-Aになってどれだけ音が変わったかは確かめることはできませんが、今までの経験ではSACDより音が悪くなっていたBD-Aには出会ったことがありませんから、おそらく満足のいく音を聴くことが出来ることでしょう。特に、録音されたホールが違っているというのが大きなポイント、コンサートホールとオペラハウスでは音響設計が全く別物ですから、これは間違いなく別の音が楽しめるはずです。
まずは、トラック順に従ってウィーンでの「3番」から聴きはじめることにしましょう。そこで、この曲の最初の印象を決めかねないホルンのテーマが、とても柔らかな音色で聴こえてきたのは、ちょっと意外でした。音色だけでなく、演奏もとても滑らかで、フレーズの切れ目に入る「ジャン・ジャン」も威圧的な感じが全くないマイルドさです。ちょっと身構えていたところにこんなやさしい音楽が出現したのにはちょっと拍子抜けの感がありましたが、それはとても心地よい体験、この先もリラックスして聴いていられることへの安堵感が漂います。予想通り、このマイルドさは全曲通して貫かれていて、なんとも懐の深い暖かい音楽を味わうことが出来ました。そんな作り方ですから、第3楽章で舞台裏のポストホルンが2度目に登場するあたりの雰囲気がまるでリヒャルト・シュトラウスのような優雅そのもののたたずまいだったことにも気づかされてしまいます。
音は、まさに極上のものでした。このホールの残響成分は極力抑えられていて、それぞれの楽器の音が適度の存在感を持ってくっきりと浮き上がって聴こえます。それは、あくまでアナログ的な温かみを持った響きなので、とても上質な肌触りが感じられます。もしかしたら、DECCAあたりの最高のアナログ録音を、経年変化やヒスノイズが全く加わっていない状態で聴いたなら、こんな音がするのではないか、と思わせられるほど、これはピュアで芳醇なものでした。第5楽章で出てくる合唱も、混濁は全く感じられません。
その、最も幸福な成果が、第6楽章の弦楽器のアンサンブルだったのではないでしょうか。ここでの弦楽器のふくよかさ、まるで匂い立つような贅沢な響きはまさに絶品、とてもこの世のものとは思えません。
ですから、その4年後、彼らのホームグラウンドでの録音だったらどのぐらいすごいものが聴けるのか、という期待が大きすぎたせいでしょうか、「5番」でのあまりの音のひどさには、心底失望させられてしまいました。おそらくオーケストラはちゃんとステージの上にいたのでしょうが、それはまるでピットの中で演奏しているようなモゴモゴした不明瞭なものだったのです。特に、低弦のモヤモヤとした感じはこの曲にとっては致命的、例えば第5楽章のフガートなど、肝心なところでことごとく期待を裏切られてしまう不甲斐なさです。
音の良さでは定評のあるFARAOでも、こんな失敗作が出来上がることもあるんですね。あ、これはあくまで「個人的な感想」ですから。

BD-A Artwork © FARAO classics
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by jurassic_oyaji | 2015-02-01 20:19 | オーケストラ | Comments(0)