おやぢの部屋2
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In Paradisum : The Healing Power of Heaven
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Elizabeth Johnson Knight(MS)
Brandon Hendrickson(Bar)
Josse Eschbach(Org)
Brian A. Schmidt/
South Dakota Chorale
GOTHIC/G-49279(hybrid SACD)




先日のグラミーがらみのアイテムを扱った時に、もう少しこの賞のクラシック部門を調べてみたら、2013年に「Best Classical Producer」を獲得したアルバムとして、デュリュフレの「レクイエム」が見つかりました。この曲については、リリースされたものはほとんど入手していたはずなのに、これは全く引っかからなかったのはなぜだったのか、と思ったら、そもそも国内では販売されていなかったようですね。
それと、もし見つけていたとしても、このアルバムのタイトルがこんな感じですから、ふつうは「ヒーリング」として聴き流すような小品を集めたものを思い浮かべてスルーしていたことでしょう。万が一「In Paradisum」で、もしかしたらフォーレかデュリュフレの「レクイエム」の中のこの曲も入っているのだな、とは思っても、まさか全曲が入っているとは絶対に考えないはずですからね。それに、確かにここではデュリュフレの「レクイエム」が全曲演奏されてはいますが、そのカップリングが黒人霊歌というのですから、やはりその手のコンセプトなのか、と思ってしまいかねません。
と、ここまではレーベルのカタログを見て分かったことです。そこから注文もできるのですが、もしやと思ってNMLを調べたら、なんとこれが入っていましたよ。こんなところで使えるなんて、うれしい誤算です。まあ、現物はSACDですから、それをAACで聴くのはちょっと辛いものがありますが、とりあえずチェックするのだったらまあ何とかなるでしょう。
これは、2009年にアメリカの若い指揮者ブライアン・シュミットによって創設されたばかりの「サウスダコタ・コラール」という合唱団のファースト・アルバムなのだそうです。プロデューサーがブラントン・アルスポーという人で、2012年の5月にリリースされています。これがいきなり2013年のグラミーで「最優秀プロデューサー賞」を獲得してしまいます。アルスポー自身はそれまでに何度もノミネートはされていましたが、受賞したのはこれが初めてです。
まあ、たかが巨乳ですし(それは「グラマー」)、そんな「ヒーリング」のコンセプト、しかも出来たばかりのアメリカの合唱団の演奏ですから、どんだけ大味かと思いながら恐る恐るを聴き始めましたが、いやあ、そんな先入観なんかは見事に吹っ飛ばしてくれるようなすごいものだったのには驚いてしまいました。なんせ、「レクイエム」の中のソロまで合唱団のメンバーが担当しているという(「Pie Jesu」のメゾ・ソプラノのソロはとても素晴らしいものでした)のですから、そもそものポテンシャルがかなりの高さにあるところに、きっちりとコーラスとしての訓練も行き届いていますから、その表現力の幅広さは驚異的です。ビブラートの付け方まで曲によって変えられるのですから、北欧あたりのノン・ビブラートのピュアなサウンドの合唱団と、それこそアメリカのびしゃびしゃなビブラートのゴスペル・クワイヤといった正反対のキャラが両方とも備わっていて、瞬時にどんなタイプの合唱団にもなりきれてしまうぐらいのスキルが備わっているのではないか、と思えるほどです。カップリングの黒人霊歌の中では、「ジェリコの戦い」でハイFのロングトーンを披露しているメンバーがいましたからね。
ですから、この「レクイエム」は、まさにかゆいところに手の届くような、今まで聴いてきた演奏ではどんな合唱団でも必ず見せていた弱点を、ことごとくクリアしているというものすごいものに仕上がっています。と同時に、この作品の持つ可能性を最大限に発揮して新たな魅力を教えてくれていた場面も数々、例えば終曲のそれこそ「In Paradisum」の最後「Chorus Angelorum」という歌詞で始まる部分のテンション・コードが、ありがちなフランス風のなよなよしたものではなく、もっと芯の通った強靭なメッセージのように聴こえてきたのです。こんなものを「ヒーリング」という形で売り出すなんて、間違っています。

SACD Artwork © Loft Recordings, LLC.
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by jurassic_oyaji | 2015-02-17 23:12 | 合唱 | Comments(0)