おやぢの部屋2
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Sacred Songs of Life & Love
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Brian A. Schmidt/
South Dakota Chorale
PENTATONE/PTC 5186 530(hybrid SACD)




久しぶりのこのPENTATONEレーベルの新譜を手にしたら、ロゴやジャケットデザインがごろっと変わっていました。たしかに、今までの隅に三角形の切り込みの入った統一デザインは、はっきり言ってかなりダサいものでしたから、ついに変身を図ったということなのでしょうか。前はこんな五角形をあしらったロゴでしたよね。
その代わりに、新しいデザインに共通しているのがジャケットを横切っている何本かのレーザー光線のような白い筋です。そして、ブックレットの裏側にはその「筋」をモティーフにした椅子のような図形と、「Sit back and enjoy」というコピー、これが、これからのこのレーベルのコンセプトとして商品に付けられているのでしょうか。まだ、ほかのアイテムを見ていないのでわかりませんが、何か、このレーベルが変わろうとしている姿勢を感じることはできませんか?
もう一つ、今までと変わっていたのは録音スタッフです。創立当初から深い関係にあって、ほとんどの録音でパートナーとなっていたPOLYHYMNIAではなく、今回はSOUNDMIRRORというところになっていました。もっとも、過去にはTRITONUSとの不倫に走るということもありましたから、これも単なる火遊びなのかもしれませんが・・・と思ってクレジットを見たらプロデューサーがブラントン・アルスポーだったので、そんな「疑惑」も吹っ飛びました。
実はこれは、この合唱団のセカンド・アルバムです。その前のアルバムが先日ご紹介したデュリュフレだったのですが、それを手掛けてオスカーを獲得したアルスポーが、今回もアルバム制作に関わっていたのですね。ということで、おそらくレーベルとしては現場には関与せず、あくまでディストリビューターに徹する、という、最近よくある形なのでしょう。前回もSACDでしたから、そのフォーマットでリリースできるというバックグラウンドもきちんと備えていますし。
今回もやはり、「生と愛の聖歌集」といういかにもなタイトルが前面に押し出されていて、陳腐なヒーリング物のような体裁を取っていますが、実は油断のできない「本物」の選曲とハイレベルの演奏が貫かれているというのは、前作と同じです。
ここでは、エストニアのペルトを始めとするリトアニアのマルティナイティス、ラトビアのエシェンヴァルズといったバルト3国勢、ノルウェーのニューステッド、スウェーデンのサンドストレムといった北欧勢、そしてスイスのアントニーニという、ヨーロッパ全土にわたる作曲家の作品が全てア・カペラで歌われています。
ある意味「ヒーリング」とみなされているペルトでさえ、彼らの手にかかると確かな重みをもつように感じられるほど、彼らの演奏は中身の濃いものです。ここでは、「マニフィカートの7つのアンティフォナ」というドイツ語のテキストによる1991年の作品が、そんな演奏によって「強いペルト」を聴かせてくれています。2曲目の「O Adonai」では、まるでロシアの合唱団のような分厚いベースの声によって、ペルトの音楽のルーツを見る思いですし、3曲目の「O Sproß aus Isais Wurzel」では、まるで微分音程のような危うげなピッチとクラスターによって、かつてはペルトも「現代音楽」をやっていたことを感じます。さらにフルヴォイスで迫る4曲目の「O Schlüssel Davids」からは、なりふり構わず放たれるメッセージの強さを思い切り感じることが出来ます。
それとは正反対のヴェクトルで、「ヒーリング」としての魅力を最大限に引き出しているのが、エシェンヴァルズの「おお救いの生贄」という2009年の作品です。2人のソリスト(もちろん合唱団のメンバー)による涙が出そうになるほどキャッチーなメロディーが、本気で心の深いところをえぐってきます。
録音は、まさにSACDでしか味わえない深みのあるものです。それは、録音会場のセント・ジョセフ・カテドラルの石造りの壁がもたらす豊かな残響を、見事にとらえています。

SACD Artwork © Pentatone Music B.V.
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by jurassic_oyaji | 2015-02-21 22:16 | 合唱 | Comments(0)