おやぢの部屋2
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SIBELIUS/Symphonies 2 & 7
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Thomas Søndergård/
BBC National Orchestra of Wales
LINN/CKD 462(hybrid SACD)




BBCというのは、ご存じイギリスの公共放送です。日本のNHKのような組織でしょうね。どちらも組織の名前を冠したオーケストラを持っていますが、日本の場合はその「NHKなんたら」は、例えば天皇が亡くなった時には全員喪服を着てブラームスかなんかを演奏するあのオーケストラしかありません。
しかし、イギリスの場合はそれが5つもあります。ロンドンの「BBC交響楽団」を筆頭に、スコットランドのグラスゴーには「BBCスコティッシュ交響楽団」、マンチェスターには「BBCフィルハーモニック」、そしてウェールズのカーディフには「BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団」、さらにはキース・ロックハートが率いるポップス系の「BBCコンサート・オーケストラ」というのが、その内訳です。
今回、LINNレーベルに初登場の「BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団」は、これまでにもBISやCHANDOSから多くのアルバムをリリースしていましたし、何よりも数代前の首席指揮者が日本人の尾高忠明さん(現在も桂冠指揮者として、名前が残っています)だったということで、親近感があったオーケストラでした。
2012年からこのオーケストラの首席指揮者となったセナゴーは、1969年生まれのデンマーク人。例によって、この綴りと日本語表記との間には、かなりの隔たりが感じられますが、北欧の言葉なのですから仕方がありません。「d」を発音しないのでしょうね。彼は、そもそもは打楽器奏者で、1992年には王立デンマーク管弦楽団のティンパニ奏者となりますが、1996年に指揮者に転向します。2009年から2012年までノルウェー放送管弦楽団の首席指揮者を務め、現在はロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の首席客演指揮者のポストにもあります。
BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団(略称はBBC NOW)は、14型・3管編成という中規模のオーケストラで、放送オケならではの多様な活動を行っています。放送用の録音を行うためのBBCのホール、「ホディノット・ホール」は、350人程度のお客さんを入れることもできるホールですが、BBC NOWはリハーサルもここで行っています。今回の録音セッションにも、もちろんこのホールが使われました。ステージとメインの客席(椅子は可動式)は同じ平面にあってまっ平ら、天井もそんなに高くなく、適度な残響を伴ったクリアな録音ができそうな空間です。
今年の末には生誕150年を迎えるシベリウスの交響曲の最新のアルバムには、最も演奏頻度の高い「2番」とおそらくビリから数える方が早いマイナーな「7番」が選ばれていました。このカップリングから予想されるのは、このチームによる交響曲ツィクルスの完成でしょうか。
まずは、このホールのアコースティックスを最大限に取り込んだ、LINNのスタッフによるいつもながらの冴えた録音に注目です。ちょっと少なめの編成の弦楽器をたくさんに見せるような姑息な手段は取らず、あえて一人一人の楽器がきっちりと聴こえてくるような精密なやり方で、逆にメンバーそれぞれのテンションを集約してオケ全体の力を見せつけるというものすごいことが、ここでは行われています。それによって、どこのパートもごまかすことを許されないシベリウスの音楽にとっての必須条件が、見事にクリアされているのです。
そんな音の中から聴こえてくるセナゴーのアプローチは、最近はやりの「スタイリッシュ」というものでしょうか。街でよく配ってますね(それは「ポケットティッシュ)。この言葉をショスタコーヴィチで使うとアホかと思われて見識を疑われますが、シベリウスでは十分に褒め言葉になりえます。「2番」の終楽章のあまりにもキャッチーなテーマ(「あったかいんだからぁ」のコード進行と同じという意味でのキャッチーさ)を、盛り上げるかに見せて冷ややかに扱って聴く者をじらしているあたりが、たまりません。「7番」では、最後の最後の「シ→ド」という解決を、まるで「マタイ受難曲」のように聴かせるセンスが、超スタイリッシュ。

SACD Artwork © Linn Records
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by jurassic_oyaji | 2015-02-23 20:59 | オーケストラ | Comments(0)