おやぢの部屋2
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RAVEL, LASSER/Piano Concertos GERSHWIN/Rhapsody in Blue
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Simone Dinnerstein(Pf)
Kristjan Ja()rvi/
MDR Leipzig Radio Symphony Orchestra
SONY/88875032452




シモーヌ・ディナースタインというアメリカのピアニストは、写真で見る限りほとんど「アイドル」という感じがしていました。しかし、実際は1972年9月の生まれといいますから、もう40を超えた「おばさん」だったのですね。調べてみるものです。もちろんご結婚もされていて、お子さんもいらっしゃるようです。とてもそうは見えませんね。このジャケット写真でベルボトムのジーンズの裾をなびかせながら歩いている姿は、どう見ても20代のギャルですよ。
この写真は、ニューヨークの地下鉄のブロードウェイ・ラファイエット通り駅で撮影されたそうですが、上にある駅名表示板がひと工夫されています。「マルS」というのが、東京の地下鉄のように、路線ごとにアルファベット表示されているマークとシモーヌの頭文字をかけているのでしょう。でも、出来ることなら、もっと「本物」らしく見えるように「汚して」欲しかったものです。
その下の、いわばアルバムタイトルにあたる「Broadway~Lafayette」という駅名が、このアルバムのコンセプトも表しています。ブロードウェイと、ニューヨークの通りの名前にまでなっている、フランス人でありながらアメリカ独立戦争の英雄となったラファイエットの名前によって、アメリカとフランスの音楽の橋渡しをしようという意味が込められているのでしょう。そこで取り上げられたのが、ラヴェルのピアノ協奏曲とガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」、そして、フィリップ・ラッサ―というアメリカ人の父親とフランス人の母親を持つアメリカの現代作曲家(育ちは青森…それは「ラッセー」)のピアノ協奏曲(世界初録音)です。
2007年に、自ら制作したバッハの「ゴルトベルク変奏曲」がTELARCレーベルからリリースされ、それがビルボードのクラシック・チャートで1位を獲得するというまさに大ブレイクを果たしたディナースタインは、TELARCからは3枚、その後2010年にSONYに移籍して、さらに5枚のアルバムをリリースしました。これまでの彼女は、ソロか、デュエット、あるいは室内オーケストラとの共演だけで、フル・オーケストラを従えての録音というのはこれが初めてとなります。
そして、ラヴェル、ガーシュウィンというのも、彼女が録音するのは初めてのはずです。そのラヴェル、なんか、とても力が入っている演奏だな、という気がしたのは、まずはピアノの音がかなり目立って録音されていたせいだったのかもしれません。コンチェルトですからピアノが目立つのは当たり前かもしれませんが、この作品の場合、適度に「抜いた」ところがないと、なんだかフランスの音楽には聴こえてこないのですから不思議です。もしかしたら、それはアルバムのコンセプトを前面に出して、「アメリカ風ラヴェル」を演出したからだったのでしょうか。
ところが、ガーシュウィンの方も、今度は「アメリカ」があまり感じられません。いや、「アメリカ」というよりは「ジャズ」、でしょうか。これは、バックのオーケストラの資質なのかもしれませんが、冒頭のクラリネットソロからしていかにもどんくさいテイストで、肩に力が入りすぎているように思えてしまいます。オーケストラ全体も、低音があまりにも立派なものですから、まるでヨーロッパの「クラシック音楽」のように聴こえてしまうのは、明らかにこの曲にとってはマイナスにしか働かないはずです。ピアノ・ソロも、とても生真面目に弾いている感じ、そこからはヨーロッパ大陸のとりすましたピアニズムは聴こえても、ティン・パン・アレイの猥雑さは全く感じられません。
その間を取り持つというコンセプトで演奏されているラッサーの協奏曲には、バッハへの共感が込められているそうですが、その「コラールの引用」というのがいまいちピンと来ないので(コラールは短調なのに、モティーフは長調、とか)、何か肩透かしを食らったような気になってしまいます。

CD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2015-02-27 20:57 | ピアノ | Comments(0)