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BEETHOVEN/Symphonies No.6, No.8
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Stefan Blunier/<
Beethoven Orchestra Bonn
MDG/937 1883-6(hybrid SACD)




ボン・ベートーヴェン管弦楽団の首席指揮者、シュテファン・ブルーニエは、日本ではまだそれほど知名度は高くありません。1964年にスイスのベルンで生まれ、指揮者としての経験を各地のオペラハウスで積み重ねるという、今ではあまり見られなくなった「古典的」なスタイルでキャリアを築いてきた人のようです。そんな中で、2001年から2008年まではダルムシュタットの歌劇場の音楽総監督というポストを務めるまでになります。そして、2008年の8月には、ボン市の音楽総監督に任命されました。この職は、自動的にボン・ベートーヴェン管弦楽団と、そのオーケストラがピットに入っているボン歌劇場の首席指揮者に就任することを意味します。彼はボンの聴衆からは暖かく迎えられ、人気者となったため、2011年までの任期の契約は2016年まで延長されることになったのだそうです。
このオーケストラとのCDも、MDGレーベルからはシェーンベルク、ダルベール、シュレーカー、フランツ・シュミットといった「渋い」レパートリーがリリースされています。そんな中でオーケストラの名前からしたら「ど真ん中」のベートーヴェンの交響曲も、全集を目指して録音され始めました。最初に出たのは2年前の「1番+5番」(余談ですが、「5番」の第2楽章のテーマは、今の朝ドラのテーマ曲そっくりですね)、そして今回の第2集は「6番+8番」というカップリングです。とりあえず第1集はハ長調とハ短調、第2集はいずれもヘ長調ということで調性の統一が図られていますが、これは単なる偶然ではないような気がします。念のため、ベートーヴェンの場合は短調で始まっても最後は同名の長調で終わるというパターンですから、音名だけを考えればいいことになります。ただ、これからこの路線を取るには、2番(ニ長調)と9番(ニ短調)の組み合わせしか残っていないというのが、ネックですが。まあ、予想としては「3番(変ホ長調)+4番(変ロ長調)」と「2番+7番(イ長調)」という近い調性のものを組み合わせて、9番だけで1枚、というあたりになるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
録音に関しては安心していられるMDGのSACDですが、今回も期待にたがわぬ素晴らしいものでした。最初聴いたときには、ちょっとおとなしい音作りだな、と感じるのですが、聴きすすむうちに次第にその情報量の多さに圧倒されるようになってきます。時折、コントラバスやファゴットの聴きなれないフレーズがはっきり聴こえてくるのには驚かされます。さらっと心地よく聴き流すのもよし、とことん細部にこだわってマニアックに聴き込むのもよしという、リスナーの「心がけ」に対応できるヴァーサタイルな録音です。
ここで彼らが取っているベートーヴェンの演奏スタイルも、やはりそんな各方面からの要求をまんべんなく受け入れられるだけの許容力を持っている、クレバーなものでした。ホルンとトランペットとティンパニはピリオド楽器が使われているようですし、弦楽器もノンビブラートとまではいかないまでも、過度な甘さは抑えたストイックな奏法に徹しています。そして、表現も、誰とは言いませんが、初期のピリオド楽器や原典版による演奏に見られたような明らかにほかの人とは違うことをやって目立ちたいだけ、としか思えないものとは一線を画した、穏やかなものです。いや、この指揮者の場合は、そんな「穏やかさ」を出すためにどれだけの丁寧なリハーサルが繰り返されていたかがよく伝わってくるのですから、逆に真剣に立ち向かわなければいけないという油断のできないものなのですが。
「6番」では、終楽章の終わり近くでコラールが鳴り響いた瞬間に、今まであまり考えたことのなかった、この作品の緊密な構成が眼前に広がりました。こういう演奏こそが「本物」と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。

SACD Artwork © Musikproduktion Dabringhaus und Grimm
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by jurassic_oyaji | 2015-03-01 20:12 | オーケストラ | Comments(0)