おやぢの部屋2
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DVORAK/Symphony No.9, American Suite
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Robin Ticciati/
Bamberger Symphoniker
TUDOR/7194(hybrid SACD)




ロビン・ティチアーティは1983年生まれ。日本で言えば「昭和時代の終わりごろ」に生まれた、まだ非常に若い指揮者です。このあたりの世代にはちょっと目を離せないような才能が目白押し、なにしろ1981年生まれのグスターヴォ・ドゥダメルが、ラトルが去った後のベルリン・フィルのシェフ・レースでは最有力視されているぐらいですからね。
オペラでは2014年にグラインドボーン音楽祭の7代目の音楽監督に就任したばかりですし、オーケストラでは2009年からスコットランド室内管弦楽団の音楽監督、そして2010年からは今回のバンベルク交響楽団の首席客演指揮者を務めています。すでに多くのCDがリリースされていますが、それと同じぐらいのオペラのDVD(BD)も出ているというあたりが、彼の強みでしょう。
バンベルク交響楽団とは、これまではブルックナーとブラームスのアルバムを録音していましたから、ここでいきなりドヴォルジャークの「新世界」をメインにした録音が出たのはちょっと意外な気がしますが、そもそもこのオーケストラのルーツはチェコなのですから、不思議はないのかもしれません。要は、ティチアーティがどんなスタイルの曲にも対応できるということなのでしょう。
「新世界」に関しては、最近ちょっとした体験がありました。大ヒットしたマンガを原作にした映画「テルマエ・ロマエ」の「2」は映画館では見逃したのですが、それがやっとWOWOWで放送されたので、見てみました。原作と映画の「1」はとても面白かったので楽しみにしていたのに、これは文字通りの「二番煎じ」で、ちっとも面白くありませんでしたね。それはどうでもいいのですが、前作同様映画の中にクラシックの曲が流れてくるので聴いていると、草津温泉の場面でお湯が流れる音の中から断片的にとても重厚な音楽が聴こえてきました。一瞬、これはワーグナーの作品だろうと思ってしまいましたね。それに続いてコールアングレのソロが聴こえてくるまでは。そう、その「ワーグナーかもしれない」と思ったのは、ドヴォルジャークの「新世界」の第2楽章冒頭だったのですよ。不意を突かれてワーグナーだと思ったその金管楽器のコラールは、そこだけ抜き出せば確かにワーグナーの作風が反映されていることに気づきます。初期の作品ではそれははっきりわかるものが、このあたりのものでもやはりこんな形で残っていたのでしょう。
今回のSACDでは、オーケストラはヴァイオリンが対向配置で演奏していますから、やはり「ドイツ的」なサウンドは聴こえてきます。特に木管あたりは、なんとも重厚な音色を備えているようです。しかし、ティチアーティは、そんな音色を大切にしていながらも、おそらく普段は彼らがあまりやっていないような「ドイツっぽくない」表現にも、果敢に挑戦しているようです。例えば、終楽章でのクラリネットの超ピアニシモなどは、「フランス風」と言っても構わないほどの「エスプリ」に満ちたものでした。そんな、とても柔軟性のある歌い方があちこちのパートから聴こえてきて、とても「グローバル」なドヴォルジャークが味わえます。ちょっと前までは田舎臭いオーケストラだと思っていたのに、ジョナサン・ノットのもとで確実にしなやかさを増していたのですね。
カップリングは、「アメリカ組曲」という、初めて聴いた作品です。そんなタイトルから、アメリカ的なものを想像することは間違っているのは、すでに「新世界」で分かっていたことですが、これはいったいどこが「アメリカ」なのか、というほどに完璧にチェコの音楽になっています。単に「アメリカにいたときに作った」というだけのことなのでしょうね。でも、やはり素材にアメリカの民謡のようなものを使っているのは間違いないようで、3曲目の「Moderato. Alla Polacca」は、なんとなく「故郷の廃家」(♪幾年ふるさと来てみれば~)のパラフレーズのように聴こえます。二足のわらじですね(それは「和尚の歯医者」)。

SACD Artwork © Tudor Recording AG
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by jurassic_oyaji | 2015-03-09 21:37 | オーケストラ | Comments(0)