おやぢの部屋2
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Something New
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Marius Skjølaas/
Christiania Mannskor
LAWO/LWC1076(hybrid SACD)




この間のLAWOレーベルは、録音の面では完全に失望させられましたが、今回のアイテムはそんなことはありません。とても同じエンジニアの仕事とは思えないような、ものすごい録音の成果が味わえますよ。これは、公式サイトから「超ハイレゾ」のデータがダウンロードできるようになっていて、前回ちょっと触れたようにDSDではSACDで採用している2.8MHzの倍のサンプリング・レートの5.6MHzというフォーマットとか、それと同程度の解像度をPCMでも実現できるDXD(24bit/352.8kHz)なども購入できるのですから、そもそも録音に関しては絶対の自信があるのでしょう。
ここに収録されているのは、2009年にノルウェーで設立された「クリスチャニア男声合唱団」の演奏です。「クリスチャニア」というのは、ノルウェーの首都オスロの昔の名前ですね。指揮をしているのがマリウス・ショーロースという名前の方です。まるで焼肉(それは「上ロース」)みたいなおいしそうな名前ですが、例によって北欧の綴りからはとてもこんな発音は出てきませんね。この方はBISから多くのアルバムをリリースしている「ノルウェー・ソリスト合唱団」の指揮者、グレーテ・ペーデシェンの教え子なのだそうです。
合唱団のメンバーは、プロとセミプロを合わせて17人(ベースだけ5人)と少人数ですが、それぞれの声がとても充実しているので、とてもそんな人数とは思えないほどの豊かな響きが、録音会場の教会いっぱいにあふれかえっているのが、細大漏らさず捕えられています。それは、一人一人の声がはっきり分かるとともに、全体としてのサウンドもきっちりと伝わってくるというすごい録音です。この前のモーツァルトで見られたような音の濁りは全くなく、あくまでピュアなサウンドがダイレクトに耳に届きます。それはもう、彼らが歌っているすぐそばで聴いているような、まさに「生そのもの」の音でした。
そんな素晴らしい音で味わえるのが、8人のノルウェーの「現代」作曲家によるア・カペラの作品です。その中で聞いたことのある人は1915年生まれのクヌート・ニューステットだけです。このアルバムのライナーには「ノルウェー作曲界の長老」などと紹介されていますが、ごく最近、2014年の12月に99歳でついにお亡くなりになったそうですね。こんなアルバムを作っていましたが、「不滅」ではなかったのですね。ここで歌われている「Beata nobis」は、彼ならではの、プレーン・チャントを素材にして徐々に不協和音や無調のフレーズが忍び込んでくるという、エキサイティングな作品です。
それ以外の作曲家は、ほとんど20世紀半ばに生まれた「中堅」とでも言える方々です。この世代になるとなかなかとんがった作風は影をひそめるようですが、アルバムの最初に入っているヨン・ムースタの作品は、オスティナートをベースにしたこちらもエキサイティングなもので、なかなか楽しめます。
その他の人たちは、どっぷり「ネオ・ロマンティシズム」とでもいうような「聴きやすい」作風に浸かっている感じのするものばかりです。例えば、シェル・ハッベスタという人の「Hymni et sequentiae」という曲集の中の7つの曲では、それぞれに中世からロマン派の時代までの聖歌の歴史を俯瞰するような様々なスタイルのものを聴くことが出来ます。最後の「Veni creator spiritus」あたりでは、フランス風の変拍子やテンション・コードも登場していますね。こういう曲は、まさに男声合唱の聴かせどころ、といった感じで、その豊穣極まりない響きには圧倒されます。ただ、この合唱団にはちょっと滑らかさが欠けるようなところがあるのが、ちょっと残念です。
最後のシェル・モルク・カールセンあたりは、もろグリーグのパクリのような作風なのが笑えます。このアルバムのタイトルにある、彼らが目指した「なにか新しいもの」とは、結局はかつての大作曲家の時代に回帰することだったのでしょうか。

SACD Artwork © LAWO Classics
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by jurassic_oyaji | 2015-03-13 21:08 | 合唱 | Comments(0)