おやぢの部屋2
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レクイエムの暗譜はあと一歩
 「ヴァチカン・レクイエム」の仙台勢の練習は、きのうですべてのスケジュールが終了しました。あとは木曜日の指揮者練習と金曜日の本番を迎えるばかりです。
 私は、モーツァルトの「レクイエム」については、CDは集めるは、いろんな種類の修復稿は集めるはと(たぶん、全部揃ってるはず)、聴くことに関してはかなりの経験を積んできたつもりですが、実際に自分で歌ったことはずっとありませんでした。オケをやっていると、自分が演奏したことのある曲では、その曲に対する聴きどころがそうでないものとは全然違ってしまうことを何度も経験してきましたから、私にとってとても身近になっているモーツァルトの「レクイエム」でも、自分で歌えば(この曲の場合は、楽器での参加は無理ですから)さらにもっと細かい次元でのおつきあいができるのに、と、ずっとチャンスを待っていたのですが、3年前にやっとその願いがかないました。ただ、それは仙台フィルとの演奏会で、最初からハイレベルの合唱が必要とされていましたから、出演するのは市内の「一流の」合唱団の団員に限られていました。しかも、そのいくつかの合唱団の選抜メンバーが集まって一緒に練習する機会はほんの数回しかありませんし、もちろん、全員がすでに歌ったことがあるというのが大前提だったので音取りはすでに終わっているものとして練習が進められるはずでした。でも、私はたまたまその中の合唱団に「籍」があったものですから、まあ必死に準備をして混ぜてもらうことにしましたね。
 思った通り、そんな高いハードルではもう音を取るだけで精一杯で、とても音楽を自分で体験するというところまではたどり着くことはできませんでした。ですから、今回の企画は、そのリベンジには格好のものだったのですね。
 こちらの方は練習もたっぷり時間が取られていましたし、指導してくれた方々も本当に基本的なところから「育てて」くれていたので、私にとっては大変有意義な経験となりました。長年、楽譜やCDと付き合ってきていても、それがいかに上っ面しかなぞっていなかったことが、このようなきちんとした練習によって痛感されることになるのですね。やはり実際に声を出しながらほかのパートの声を聴くという、自分で音楽に参加することが、どれだけ楽譜の理解につながるかがよくわかります。さらに、指導者の方々は、とてもしっかり楽譜を研究されていて、そのアナリーゼはまさに目から鱗の事柄がてんこ盛り、どんだけ役に立ったことでしょう。この経験は、これからの私の音楽生活に、とても大切なものを与えてくれました。感謝の言葉もありません。
 私の方も、できることがあればぜひお手伝いしたいものだと、ちょっとマニアックな情報を提供させたりしてもらいました。というか、それも結局は私にとって役に立つ情報を得ることになったのですが。例えば、この間の京都の演奏会の前に、指揮者の要求で「Rex tremendae」のテナーの最後の音を、今使っているベーレンライター版のヴォーカル・スコアとは違う音に直して歌った、ということがありました。ですから、仙台でもそれと同じように直そうという指示が伝わっていたのですが、そんな間違いがこの楽譜にあったなんて、全然知りませんでしたよ。ところが、同じベーレンライターのスコアを見てもそれはヴォーカル・スコアと同じ音(D)です。でも、指揮者が使っているのは確かドーヴァー版だったような記憶がありますから、それを見てみたら、確かに別の音(F)になっています。こうなったら、ほかの楽譜ではどうなのか、気になるじゃないですか。そこで、手元にあるすべての楽譜を調べてみましたよ。その結果、それらはすべてDだったことがわかりました。ことのついでに自筆稿(といっても、アイブラーの書き込みが入っていますが)を見てみたら、これもDでしたね。この楽譜、ベース以外はハ音記号、テナーは「第4線」がCです。
 しかしこの部分、最後の小節はモーツァルトが書いているはずなのに、弦の音が楽譜によって微妙に違っているのは、なぜなんでしょう(この件は解決しました。ファースト・ヴァイオリンだけがモーツァルトの自筆だったんですね。)。こんなことも、実際に歌うことがなければ絶対に知ることができなかったはずです。ほんとに「現場」での実践の大切さを思い知らされます。何の演奏経験もなくCDの帯解説などを書いているような人に、きちんとした原稿が書けないのは当たり前の話です。
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by jurassic_oyaji | 2015-03-16 21:44 | 禁断 | Comments(0)