おやぢの部屋2
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BRUCKNER/Motets
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Duncan Ferguson/
Choir of St Mary's Cathedral, Edinburgh
DELPHIAN/DCD 34071




スコットランドのエディンバラのレーベルDELPHIANというのには、今回初めてお目にかかりました(「サンダンバラ」ならしょっちゅうお目にかかれますが)。カタログを見るとイギリスの渋い音楽などがたくさんあってちょっと惹かれます。しかし、今回はブルックナー。彼が作った合唱曲を集めたアルバムです。これらに関してはこちらにそのCDがほぼ網羅されていますが、ここにこの最新のCDが加わることになります。「最新」とは言っても録音されたのは2010年、2011年にはリリースされていて、並行輸入では入手できたようですが、日本の代理店を通しての国内リリースは今頃になってしまいました。
演奏しているのは、ご当地エディンバラのセント・メアリー大聖堂の聖歌隊です。イギリスの聖歌隊には様々な形態があるようですが、この団体はトレブルに男子だけではなく女子も加わっているというのが、ちょっとユニークなところでしょうか。なんでも、この聖歌隊は1978年にイギリスで初めてトレブルに女子が加わることを許した団体なのだそうです。メンバー表を見ると、それが19人もそろっています。他のパートは5人ずつぐらいですが、アルトは女性アルト2人に男声アルト4人という編成です。
そんな充実した陣容の合唱団は、予想通りのパワフルな声を聴かせてくれていました。それは、最初に演奏されていた「Tota pulchra es(全集版の27番)」を聴くだけでわかります。これはテノールソロと合唱との応唱ですが、まずそのテノール(もちろん、この合唱団のメンバー)の力強さに驚かされます。そして、それを迎える合唱のトレブルが、まるで突き抜けるような声で大聖堂の中に響き渡った時、これは普通の「聖歌隊」とは別の次元の合唱団であることがわかります。そこには、少年(少女)合唱特有の「あやうさ」や「はかなさ」といったものがまるで感じられません。その代わりにあったのが、その年齢でなければ絶対に出せないピュアな響きなのに、大人顔負けのパワーを持つという、信じられないサウンドでした。この曲にはオルガンも加わりますが、そのフル・オルガンにも負けないほどの音圧を、彼らはやすやすと生み出していたのです。ほんと、有名な「Ave Maria(7声、20番)」の前半の山、「Jesus」と3回繰り返す最後の高音のAなどを何の苦労のあとも見せずにスッパリと出してみせるなんて、すごすぎます。
そんな圧倒されるようなサウンドですから、今まで聴いてきたブルックナーのモテットとはまるで別の印象が与えられます。これらの作品は、その和声などは紛れもなく彼の交響曲と同じテイストが感じられるものの、あくまでそれとはまったく別の世界の産物という気がしていたのですが、この合唱団はそんなつつましい作品であったはずのモテットたちから、まるで交響曲のような壮大な世界を見せてくれているようです。
このアルバムの中では最も大きな規模を持つ「Libera me(ヘ短調、17番)」では、ダ・カーポの直前に伴奏のオルガンがなくなり、合唱とトロンボーンだけで「Requiem aeternam」としっとり歌われますが、このハッとさせられるような対比の妙も、それまでの壮大な盛り上がりがあればこそです。
さらに嬉しいことに、今までのCDでは聴くことのできなかった珍しい曲もここでは演奏されています。まず、これだけラテン語ではなくドイツ語のテキストが使われている16番の「Zwei Totenlieder」の2曲です。不思議なことにドイツ語で歌われることによって、ブルックナーがシューマンやブラームスなどと同時代を過ごした作曲家であることがよく分かります。
もう1曲、ここでおそらく初めて録音されているのが、男声合唱による「Iam lucis orto sidere(35番)」です。これを聴くと、男声パートだけでもかなりのハイテンションなのが分かります。ベースあたりはちょっと張り切りすぎているようにも思えますが、それも含めてのこの合唱団のユニークなキャラクターを味わうべきなのでしょう。

CD Artwork © Delphian Records
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by jurassic_oyaji | 2015-03-17 21:01 | 合唱 | Comments(0)