おやぢの部屋2
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NIELSEN/Symphonies Nos. 5&6
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Alan Gilbert/
New York Philharmonic
DACAPO/6.220625(hybrid SACD)




さすが、今年は「二ルセン・イヤー」というだけあって、交響曲全集が2種類も完成してしまいました。しかもなんとSACDで。このギルバートとニューヨーク・フィルのツィクルスは、録音を始めたのは2011年と早かったのですが、最後の曲を録音し終わったのは、2014年の10月、その4か月前に終わっていたサカリ・オラモとロイヤル・ストックホルム・フィルによるBISの全集にほんの少し後れをとってしまいました。1枚目と2枚目の間が開き過ぎたのが痛かった。
とは言っても、今まではニルセンが作った交響曲の正確な数なんて知らなかった人の方が多かったものが、さすがにこれだけ盛り上がれば「6曲」だというのはほとんど常識となったことでしょう。もっとも、この作曲家の正しい読み方が「ニールセン」ではなく「ニルセン」だ、と認知している人は相変わらず少ないままですが。
このDACAPOのツィクルスは、当初は交響曲だけではなく、協奏曲や他の管弦楽曲も含めた「管弦楽曲全集」になるはずだったと記憶していますが、代理店のインフォによればこれが「完結編」なのだそうです。せっかく定期演奏会でかなりの曲を演奏したというのに、それらはリリースされることはないのでしょうか。
今回も、今までと同じく、定期演奏会で演奏されたものをライブ録音して出来上がったSACDです。2014年の10月1日から3日までの3日間、エイヴリー・フィッシャー・ホールでのコンサート、前半に「マスカレード」序曲と「交響曲第5番」、後半に「交響曲第6番」が演奏されていました。今までのこのシリーズだと、2つの曲の間の録音のクオリティの差が結構目立っていたのですが、今回はそんなことはありませんでした。おそらく、同じ日の演奏がそれぞれベストだったので、それをメインの音源として使ったのでしょうね。いつもながらのそれぞれの楽器がはっきり浮き出てくる精緻な録音ですが、今回は特に弦楽器のまろやかな響きが別格です。本当にもううっとりするような極上の録音には、トイレ(御不浄)に行く時間も惜しくなるほどです。
そんな弦楽器のクールな響きは、「5番」の第1楽章(この交響曲には2楽章しかありません)のまるでミニマル・ミュージックのような音楽に見事にマッチしています。そこに唐突に割り込んでくるスネアドラムの硬い響きも、見事に「異質なもの」として感じられます。楽章の後半はちょっとロマンティックなモティーフが出てきますが、それはあくまでそれまでのクールなモティーフとの対比、その2つの要素が並行して何の脈絡もなく続くのがニルセンらしいところでしょうね。エンディングでは、クラリネットとスネアドラムだけの超ピアニシモが、ぞっとするほどの美しさを見せています。
第2楽章は3拍子の曲なのに変な切迫感があるのがやはりニルセン。途中でゆっくりとした無調っぽいテーマが出てきますが、そこでものどかさと厳しさが同居しているという風景が。
「6番」は、サブタイトルが「Sinfonia semplice」ですから「素朴な交響曲」と訳されているようですが、その内容は「素朴」からははるかに遠いものになっています。というか、見かけは「古典的」な4楽章、オーケストレーションも薄めという風にわざと「素朴」であるかに見せかけて、実際は油断のできないことを仕掛けているというアイロニーあふれるものなのではないでしょうか。そのオーケストレーションにしても、第2楽章などはメインは打楽器、そこに管楽器のアンサンブルが加わって「鳥の声」などを聴かせていますが、弦楽器は一度も現れることはありません。交響曲だというのに。
第4楽章も、変奏曲という形式を逆手にとってのやりたい放題、途中で大真面目に「ウィンナワルツ」のパロディが始まったのには思わず大笑い。エンディングはまさにお祭り騒ぎですし。第1楽章冒頭のあったか~いテーマに騙されてはいけませんよ。

SACD Artwork © Dacapo Records
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by jurassic_oyaji | 2015-03-31 22:05 | オーケストラ | Comments(0)