おやぢの部屋2
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HANDEL/Messiah
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J. Nelson, E. Kirkby(Sop), C. Watkinson(Alt)
P. Elliott(Ten), D. Thomas(Bas)
Christopher Hogwood/
The Choir of Christ Church Cathedral, Oxford
The Academy of Ancient Music
DECCA/478 8160(CD, BD-A)




最近の「ハイレゾ」の盛り上がりは、ちょっとすごいことになっています。本屋さんにはその「ハイレゾ」がタイトルになった雑誌やムックが普通に本棚に並んでいるのですからね。ほんの数年前までは一握りのマニア相手の商売でオイソレとは手が届かなかったものが、ここまでの広がりを見せるような事態になることなど、全く予想できませんでしたから、これには本当に驚いてしまいます。
とは言っても、そういう書籍をパラパラ眺めてみると、書いてあることはどれも同じようなこと、そもそも、そこに登場するライターが、本当に限られた人だけなのですから、それも当たり前なのでしょう。つまり、こういうものを読んでみると、このところ低迷を極めていた音楽ソフト業界で、久しぶりのヒット商品が現れたために、そういうライターの言うことに乗っかって内容も分からないままにとりあえず売りまくろう、という魂胆が丸見えなのですよ。
ですから、本当に「ハイレゾ」を必要としているマニアにとっては、こんなに大げさに盛り上がってしまうと、その反動が怖くなってしまうのではないでしょうか。単なる「ブーム」でしかないものであれば、それは時間がたてば間違いなく消え去ってしまいます。すでに、フィジカルなハイレゾのソフトでは「シングル・レイヤーSACD」というものが市場から姿を消していますしね。
そんなハイレゾのフィジカル・ソフトとして、現在最も信頼のおけるものがBD-Aなのではないでしょうか。同じ音源を、1bit/2.8MHzのDSDであるSACDと比較すると、BD-Aのほうがはるかに「いい音」に聴こえることの方が多いような気がします。DSDでも最近では5.6MHzとか11.2MHzなどというスペックのものもあるようですが、まだそれに対応できるだけの機器は一般的ではありません。
BD-Aを細々ながら継続して出してくれているユニバーサルから、今回L'OISEAU-LYREのアナログ音源からのトランスファーによる新譜が登場しました。このレーベルはもちろんDECCAのスタッフによって制作されていましたが、DECCAならではのどぎつさは極力抑えられていて、あくまで「古楽器」にふさわしい繊細さを前面に出したようなサウンドが持ち味なのでは、という印象がありました。それがBD-Aではどのように聴こえるのかが、とても楽しみでした。というのも、このホグウッドとAAMとの一連の録音の中で、モーツァルトの交響曲全集のCDボックスを聴いてみたのですが、そのあまりに硬質な音にはちょっと失望させられたものですから。
しかし、このBD-Aは違います。そもそも、同梱されている「最新リマスターCD」では、確かにいくらか柔らか味を帯びた音にはなっていたものの、このBD-Aを聴いてしまうとそんなものはあくまでCDという範疇での「改善」でしかなく、いくらがんばってもそのCDの限界を超えることはできないことを再確認させられるだけのものにすぎませんでした。BD-Aでは、まず弦楽器の肌触りが別物ですし、なんたって合唱やソリストの声がとてもふくよかです。
そんな、サウンド面ではまさに期待通り、いや、期待をはるかに超える仕上がりに満足はしたものの、ここで歌っているクライスト・チャーチ聖歌隊の演奏には、かなりの失望感を抱かざるを得ませんでした。この聖歌隊は、もちろん伝統的なすべてのパートが男声だけという編成なのですが、そのトレブルがあまりに「ピュアすぎる」のですね。確かに、この録音が発表された当時は、この「ピュアさ」こそが売り物だったのでしょうが、それ以後に現れた多くの団体を聴いてしまったあとでは、このトレブル・パートは単なる「無気力」にしか聴こえないようになってしまっています。メリスマのピッチなどは舌を巻くほどの完璧さなのですが、それが上っ面の「見世物」にしか聴こえないのは、まさにこの「時代」だからなのかもしれません。そう、これは18世紀の「ピリオド」ではなく、あくまで「20世紀後期」の「ピリオド」なのです。

CD & BD-A Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2015-04-09 20:46 | 合唱 | Comments(0)