おやぢの部屋2
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NIELSEN/Songs for Choir
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Michael Bojesen/
Ars Nova Copenhagen
DACAPO/6.220569(hybrid SACD)




なんたってニルセンの生誕150年という記念の年ですから、母国デンマークのレーベルも盛り上がっています。今回はこんな珍しいレパートリーがSACDでリリースされました。
ニルセンが作曲した「歌」は全部で300曲ほどあるのだそうです。その中にはもちろん「クラシック」としての「歌曲」も含まれていますが、ほとんどのものは非常にシンプルな「唱歌」のようなものでしょうか。1922年に、「国民高等学校歌集」というものが公式に編集されたときに、ニルセンは編者の一人として参加、今まで作ったそのような「唱歌」を33曲提供しました。現在でもこの歌集は版を重ねられていて、彼の作品は36曲に増え、さらに、同じようなスタイルで作られた他の作曲家の作品も加わっています。
ここには、この歌集の中から選ばれた20曲ほどの「歌」が録音されています。ただ、タイトルは「合唱のための~」とはなっていますが、その中でニルセン自身が合唱の形にしていたのは3曲しかありません。残りは普通のピアノ伴奏のメロディー譜だったものを、ここで指揮をしているミケール・ボイエセン(彼は作曲家でもあります)によって4声の無伴奏混声合唱に編曲されたものです。
それぞれは、本当にシンプルな、全く同じものが歌詞を変えて数回繰り返されるという「唱歌」そのものです。そこで歌われているのはデンマークの自然や、歴史などですが、音楽は例えばコダーイのように民族的なスケールやフレーズが登場するものではなく、いたって生真面目なそれこそ日本の「小学唱歌」にも共通するような西洋音楽の基礎的なハーモニーにのっとったものです。それは、そもそも他人に聴かせるというよりは、誰でも簡単に口ずさめることを目指すという、この「歌集」のコンセプトに沿ったものなのでしょう。「Se dig ud en sommerdag(夏の日をみわたしてごらん)」という歌などは、クリスマスでよく歌われる「Christmas Bells Are Ringing」という曲とそっくりです。
それを合唱に直した時に、ニルセン自身の編曲はいともシンプルなホモフォニーになっているのも、アマチュアが簡単に歌えることを目指したからなのでしょう。ただ、このアルバムのためにボイエセンが行った編曲では、いかにも「合唱曲」っぽく、あるパートをほかのパートとちょっとずらすというような「小技」が入っているものがあるのが面白いですね。
こんなマイナーな作品ですから、タイトルにも定訳はなく、オリジナルのデンマーク語から英語に訳したものを頼りに、日本語の表記が代理店によって提供されていますが、それとは別におそらくデンマーク語から直接訳したと思われる別の表記が、北欧音楽のオーソリティ、「ノルディックサウンド広島」からも提示されているので、ちょっと混乱しています。いや、それがほぼ同じものなら問題はないのですが、あまりに違っているものがあって、おそらくどちらかが誤訳なのでは、と思わざるを得ません。例えば、(代理店=NA):「海に囲まれたデンマーク」/(ノルディック=NO):「デンマークを囲む海」と、正反対の言い方になっているものは、英語訳を見る限りNOが正解であることが分かります。こういうものは担当者が語学力に乏しいNAの方が常に間違っているものなのですが、(NA):「わが布の弱さを考える」/(NO):「私のもろい蜘蛛の巣をごらん」では、歌詞全体を見てみるとNAの方が正しそうだ、という意外な結果が出たりします。しかし、(NA):「浮島の戦艦」/(NO):「いつでも出帆できる船のように」となると、もうどっちが正しいのかわからなくなってしまいます。
ポール・ヒリアーの指揮による多くの録音でおなじみのアルス・ノヴァ・コペンハーゲンも、いつもながらのピュアなサウンドが素敵です。各パート3人ずつの12人編成が基本ですが、曲によって4人のソリになるところがあって、それはまさに「素朴さ」の極致ともいえる見事なハーモニーです。

SACD Artwork © Dacapo Records
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by jurassic_oyaji | 2015-04-13 20:50 | 合唱 | Comments(0)