おやぢの部屋2
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BIZET/Carmen
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Marilyn Horne(Carmen), James McCracken(DJ)
Tom Krause(Escamillo), Adriana Maliponte(Micaëla)
Leonard Bernstein/
Manhattan Chorus(by John Mauceri)
Metropolitan Opera Orchestra & Children's Chorus
PENTATONE/PTC 5186216(hybrid SACD)




このレーベルは、元々はなくなってしまったPHILIPSのアーカイヴの中でも、「4チャンネル」で録音されていたものをサラウンドのSACDでよみがえらせようという目的のために設立されていました(たぶん)。それがしばらくリリースされていないようになっていたと思っていたら、こんどはDGの、やはり4チャンネルの音源によるSACDを出し始めました。その時には、ジャケットのアートワークは、花の中にタイトルが埋め込まれているというぶっ飛んだデザインのものに変わっていましたね。
そんな中で注目したのが、バーンスタインが指揮をした「カルメン」です。でも、バーンスタインというと、オーケストラの指揮者としてあまりにも有名ですから、オペラなんかは演奏していないような気にはなりませんか?確かに、録音されたものは、よく比較されるカラヤンなどに比べるとはるかに少ししかありません。
とは言っても、オペラハウスでの実績はきちんとありました。たとえば、「地元」のメトロポリタン歌劇場では1964年にヴェルディの「ファルスタッフ」でデビューを飾ります。この演目は、バーンスタインはウィーン国立歌劇場でも1966年に演奏し、その時のメンバーでスタジオ録音されたものは彼の最初のオペラ録音として知られています。その後のMETでは、1970年には、なんと「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」の二本立てという、ちょっとバーンスタイらしくない演目での指揮も行っています。
そして、1972年には、「カルメン」を指揮することになりました。これは、9月19日から10月20日までの間に6回上演されていますから、「中5日」というスケジュールだったのでしょう。その上演と並行して、オフの日にほかの場所でセッション録音されたものが、このSACDのもとになったアナログ音源です。
ここでバーンスタイが使っている楽譜は、ビゼーのオリジナルの形に近い、セリフが間に入る「アルコア版」です。この楽譜が出版されたのが1965年ですから、それまでの伝統(ギローによって改変された「グランド・オペラ版」)を破ってこの時期にMETが新しい楽譜を選択していたのにはちょっと驚きます。
バーンスタインの演奏は、まず前奏曲でそのあまりのテンポの遅さに驚かされます。おそらく彼は、このような重々しい演奏によって「カルメン」の悲劇性を強調しようとでもしたのでしょうね。ただ、この中で出てくる「闘牛士の歌」が第2幕で歌われる時にも、同じようなテンポをとられると、歌っているエスカミーリョ(トム・クラウゼ)がとても間抜けに感じられてしまいます。
同じようにそんな気まぐれに付き合わされて悲しい思いをしているのが、「第3幕への間奏曲」を吹いているフルーティストでしょうか。ハーピストがおそらく指揮者の指示に従って、かなりゆったりとしたテンポで弾き始めたのですが、それはおそらくフルーティストの感性の下限を超えていたのでしょう。そのハープとは全く無関係なテンポで演奏を始めました。結局最後までその二人は全く別のテンポ感で貫き通すのです。ここで指揮者はいったい何をやっていたというのでしょうか。
ここで録音を担当しているのは、DGのトーンマイスター、ギュンター・ヘルマンスです。しかし、ここで聴く音は彼のいつものカラヤンとベルリン・フィルとの音とはずいぶん違っているようです。録音場所の違いもあるでしょうが、最大の理由は「4チャンネル」を意識して間接音をかなり強調した音作りが行われていることでしょう。それをサラウンドではなく2チャンネルステレオで聴いていると、なんか地に足がついていない浮遊感のようなものに悩まされて、不愉快になってきます。歌手たちの声は何とも大げさな動き方を見せて(聴かせて)います。なにか、4チャンネルというものに振り回されて、肝心の音がちょっとお粗末になっている感じがしてなりません。

SACD Artwork © Pentatone Music B.V.
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by jurassic_oyaji | 2015-04-15 22:35 | オペラ | Comments(0)