おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
Silk Road
c0039487_20232204.jpg



Douglas Bostock/
Argovia Philharmonic
COVIELLO/COV 91413(hybrid SACD)




「シルクロード」とは言っても、「喜多郎」のアルバムではありません。そう言えば、最近は「グラミーにノミネートされたが、受賞は出来なかった」という噂を年に一度耳にするだけで、とんと彼の名前を聞かなくなりましたが、まだあの退屈な音楽をやっているのでしょうか。
こちらは、シルクロードをテーマにしたオーケストラの作品を演奏したコンサートのライブ録音です。演奏されているのは團伊玖磨の、その名も「管弦楽組曲『シルクロード』」、ボロディンの有名な「中央アジアの草原にて」、そしてブゾーニの「『トゥーランドット』組曲」です。
團伊玖磨の作品は、1954年に作られ、1955年の「三人の会」の第2回演奏会で作曲家自身の指揮による東京交響楽団によって初演されました。「三人の会」とは、團の他に黛敏郎と芥川也寸志という、当時の日本の作曲界をリードしていた才能のある「若い」3人の作曲家が集まって作ったユニットです(才能のないダメな人が集まったのは「残念の会」)。日本人の指揮者とオーケストラによる録音はありましたが、外国のアーティストによるものはこれが最初ではないでしょうか。
そんな「世界初」を担ったオーケストラは、スイスのアルゴヴィア・フィルという、全く聞いたことのない団体でした。2001年からダグラス・ボストックが首席指揮者を務めていますが、ボストックは東京佼成ウインドオーケストラの首席指揮者を2000年から2006年まで務めていましたから、日本人作曲家の作品もよく知っていたのでしょう。ただ、このオーケストラは、ブックレットのメンバー・リストによると弦楽器が10.8.6.6.4という、かなり少なめなのが気になります。
その「シルクロード」は「プレリューディオ・カプリッチョーソ」、「パストラーレ」、「ダンス」、「マルチア」という4つの曲から出来ていて、ちょうど交響曲の4つの楽章のような役割がそれぞれの曲に与えられているようです。その中のアンダンテ楽章に相当する2曲目のテーマが、童謡の「ぞうさん」の「♪お鼻がながいのね~」の部分とそっくりなのが、ちょっと微笑ましい感じです。ご存知のように、「ぞうさん」は團の作品、このほかにも「おつかいありさん」(♪あんまりいそいでこっつんこ~)とか「やぎさんゆうびん」(♪くろやぎさんからおてがみついた~)のような大ヒット曲をこのジャンルでも生み出していたのが、團なのです。この「ぞうさん」のテーマは、セシル・シャミナードの「コンチェルティーノ」というフルートの作品でも現れていて、思わず笑ってしまいますが、ここはなんたって自作ですから、許してあげましょう。そのテーマは最初はコール・アングレで現れ、やがて弦楽器が朗々と歌い上げることになるのですが、やはりこの人数ではあまりにしょぼすぎますね。それにしても、シルクロードを歩いているのが「ぞうさん」だというのは、ちょっとユニーク。
でも、続く3曲目で出てくるのは「月の砂漠」ですから、これはいかにも「隊商」という感じはしてきますね。
「中央アジアの草原にて」の新録音なんて、かえって変な気がしますが、これはあまりに有名すぎるためなのか、かなり「手抜き」の演奏になっているような気がします。ライブ録音ということもあるのでしょうが、出だしの管楽器がそもそもいい加減ですし。
そして、ブゾーニの「トゥーランドット」という珍しい作品が最後に演奏されています。これは、プッチーニと同じ原作が戯曲として上演された時の「劇音楽」として作られたものを、組曲という形に直したものなのだそうです。シルクロードがらみでさぞや異国情緒豊かな仕上がりなのでは、という期待は見事に裏切られ、ごくたまに五音階が出てくるだけで、基本的にはとても美しい西洋音楽に仕上がっています。こちらにはなぜか「グリーン・スリーブス」が引用されていますし。

SACD Artwork © Coviello Classics
[PR]
by jurassic_oyaji | 2015-05-04 20:27 | オーケストラ | Comments(0)