おやぢの部屋2
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L'amour et la foi/Vocal Music by Olivier Messiaen
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Marianna Shirinyan(Pf), Thomas Bloch(OM)
Marcus Creed/
Danish National Vocal Ensemble
Danish National Concert Choir
Danish National Chamber Orchestra
OUR RECORDINGS/6.220612(hybrid SACD)




このデンマークのレーベルからのデンマーク国立ヴォーカル・アンサンブルのアルバムは、以前出んまあく。そちらは3年ほど前にリリースされたものでしたが、その間にこのアンサンブルでは指揮者の交代がありました。以前はそのアルバムで指揮をしていたイギリス人のスティーヴン・レイトンが首席客演指揮者、スウェーデン人のオロフ・ボーマンが首席指揮者だったものが、2014年からはその両方のポストがSWRヴォーカル・アンサンブルの芸術監督のマルクス・クリードに引き継がれたのです。クリードという人、ドイツの合唱界でずっと活躍しているのでてっきりドイツ人だと思っていたら、イギリス人、ケンブリッジのキングズ・カレッジ出身だということを、今回初めて知りました。
メシアンの合唱作品を集めたこのアルバム、タイトルは「愛と信仰」です。合唱に限らず、この2つの言葉はまさにメシアンの音楽の核心をなすものです。彼の合唱作品はそんなに多くはありませんが、その中の代表的な「神の降臨のための3つの小典礼」と「おお聖餐よ!」そして「5つのルシャン」が演奏されています。
「小典礼」は、3つの部分から成る大規模な作品です。合唱とは言ってもパートはソプラノだけで、それもほとんどユニゾンで歌われています。そこにピアノとオンド・マルトノ、そして多くの打楽器を含む室内オーケストラが加わります。ここにはもちろんさっきの「愛と信仰」はてんこ盛りですが、第1曲目などではピアノ・ソロがのべつ「鳥の声」を模倣しているというのは、メシアンの常套手段です。それぞれの曲では、プレーン・チャント風のゆったりとした部分とリズミカルな部分とが交互に現れ、わかりやすい表現の変化が楽しめます。そして、合唱パートがシンプルな分、オーケストラが豊穣な和声と色彩的なオーケストレーションで音楽全体をとても立体的なものに仕上げています。
そんな、聴きどころ満載で、それこそ「トゥーランガリラ交響曲」に匹敵するほどのキャッチーな曲なのに、なぜか録音にはそれほど恵まれていません。おそらく、今までに出たもので入手可能なのはバーンスタイン盤(1961年/SONY)、クーロー盤(1964年/ERATO)、エドワーズ盤(1990年/EMI)、ナガノ盤(1994年/ERATO)、チョン盤(2008年/DG)ぐらいなものでしょうか。
このSACDでは、ソプラノが楽譜通りの18人で演奏されています。デンマーク国立ヴォーカル・アンサンブルのメンバーだけでは足りないので、普段はオーケストラの中の大編成の合唱として活躍しているデンマーク・コンサート合唱団のメンバーが加わっています。この合唱が、それぞれの個性を主張して、全体としてかなり骨太のサウンドを聴かせてくれるのはいいのですが、ちょっとピッチに不安のある人が何人かいるために、メシアンならではの精緻なハーモニーに収まりきらない部分が出てきているのが問題です。ですから、ずっとユニゾンだった合唱が曲の最後でパートが分かれると、途端に音が濁ってとても聴きづらくなってしまいます。でも、そんなに頑張らないで歌っている3曲目の静かな部分では、合唱と弦楽器、そしてオンド・マルトノが歌いかわすという場面がとても印象的です。
「ヴォーカル・アンサンブル」だけで演奏している後の2曲は、非の打ちどころのない名演です。「聖餐」のハーモニーはこの世のものとも思えないほどの澄み切った美しさですし、「ルシャン」には逆に荒っぽさまでも魅力と感じられるようなすごさがあります。
それを助けるのが、名エンジニア、プレベン・イヴァンによるDXD(32bit/352.8kHz)のサウンドです。これはまさに理想的なア・カペラの合唱の録音。実は「小典礼」は会場もエンジニアも、そして録音フォーマット(32/88.2)も全く別、合唱が濁っていたのはそのせいだったのかもしれません。

SACD Artwork © Naxos Global Logistics GmbH
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by jurassic_oyaji | 2015-06-14 20:28 | 合唱 | Comments(0)