おやぢの部屋2
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アール・ヴィヴァン
 きのうの「おやぢ」で取り上げた新垣さんの本については、まだまだ書きたいことがありました。ざっと書いた「初稿」ですでに2300字にもなっていたので、一応基本と定めている「1500字台」からは大きくはみ出してしまいます。それからどんどん削って、あれだけにするのは大変でした。それだけ突っ込みどころが多かったということですね。ですから、その削った分を復活させてもう1本書いたらいいと思うでしょ?でも、私はそんな姑息なことはしません。使えなかったものは捨てるだけです。
 「おやぢ」のために書いた下書きでは、あの本の真ん中以降のところからしか扱っていません。そこに行く前にたくさんのネタがあったのですが、その部分に入ったら、やはりどんどん書くことが出てきたものですから、そこだけであんだけの字数になってしまいました。ですから、あのあたりに関する書き込みはあれでおしまい、ここでは、「その前」の部分での突っ込みです。
 年代的にはかなり離れているようなのですが、彼の学生時代などの話を読んでいると、なんか、私が経験していたこととかなり重なっているところがありました。まずびっくりしたのが「アール・ヴィヴァン」なんて名前が出てきたことです。知ってますか?今ではもうなくなってしまったはずですが、池袋の西武デパートの別館にあったお店です。そこは、「〇〇やさん」と一言で片づけることが出来ないほどの、いろいろなジャンルをカバーするものであふれていました。それらは主に、現代美術と、そして「現代音楽」に関するアイテムです。音楽に関しては書籍や楽譜、そしてレコード、中には楽器っぽいものもありましたね。そういうものが大好きな私にとっては、そこはまさに宝物だらけのお店でした。とは言っても、実際に買ったものはあまりなく、あくまでお店の中を見て回って、ひたすら「現代」の息吹に触れるという「場」だったのですね。
 そこは、そもそも、デパートの最上階にあった「西武美術館(のちにセゾン美術館)」との関連でオープンしたお店で、現代美術を主に扱っていたその美術館での展示に伴って、グッズなどを扱っていたのですね。もちろん、私は西武美術館にもたびたび足を運んでいましたよ。
 このころの「西武」の文化的な貢献は、ちょっとすごいものがありましたね。もう一つ、そんな現代芸術の先頭で機能していた「場」が、渋谷の「西武劇場」です。これも、今では「PARCO劇場」と名前が変わってしまいましたね。ここでは、やはり新垣さんも通ったという「ミュージック・トゥデイ」という現代音楽の連続コンサートが毎年開催されていました。これをプロデュースしていたのが武満徹。ここでは、彼が厳選した同時代の作曲家の作品が演奏されていたのですが、その作曲家たちは、それまでの「現代音楽」とは一味違うところから出てきた人が揃っていました。それは、あくまで西洋音楽の流れの中で複雑化して行ってその結果行き場を失ってしまった「現代音楽」には、ある種冷ややかな視線を注いでいる人たちですね。そこで出会った高橋悠治に、私は夢中になってしまったのですよ。
 その高橋悠治が中心になって作られた作曲家集団が「トランソニック」、そして、そこから同じタイトルの雑誌も発行されていました。これも、新垣さんの本には登場します。スティーヴ・ライヒという名前はその雑誌で初めて知りました。
 そんな感じで、私が東京まで電車で1時間もかからないで行けるところに住んでいた間に入り浸っていた「アール・ヴィヴァン」、「西武美術館」、「西武劇場」といった場所が、今の私の音楽的な嗜好の根っこになっています。もはや今では完全になくなったか、全くの別物になってしまったところですから、まだ元気に機能していたそれらの場所に出会えたのは、本当に幸せなことでした。そんな、懐かしい場所を新垣さんの本の中に見つけて、すこし思い出に浸っているところです。
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by jurassic_oyaji | 2015-06-22 23:11 | 禁断 | Comments(0)