おやぢの部屋2
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la COUR/Works for Choir and Organ
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Bine Bryndorf(Org)
Søren Christian Vestergaard/
Trinitatis Kantori
DACAPO/8.224725




このジャケット、最初は何を描いたものか全然分かりませんでした。遠目にはなんだか青虫のようにも見えますが、近づくとどうやらこれは鳥の羽なのではないか、という気がしました。「翼」というタイトルの曲があるので、おそらく、そのあたりからのイメージをデザインしたものなのでしょう。
これは、1944年に生まれたデンマークの作曲家、ニルス・ラ・クールのオルガンと合唱のための作品を集めたアルバムです。彼の作品はオーケストラ曲からソロ・ピースまで多岐にわたっていますが、1988年にデンマークアマチュア合唱連盟から「今年の合唱作曲家」という賞を授与されているように、主に合唱曲の作曲家として知られています。
録音が行われたのはコペンハーゲンにあるトリニターティス教会です。ここにはバルコニーに設置されている大オルガンと、小さなクワイア・オルガンの2台を使い分けています。オルガンが合唱の伴奏をする曲ではクワイア・オルガン、オルガン・ソロの作品では、もちろん50以上のストップを持つ大オルガンが使われました。まずは、そのオルガン作品から聴いてみます。
ここでは、それぞれ20分から30分ほどかかる2つの大きな作品が演奏されています。1986年に作られた「オルガンのための3つの間奏曲」は、緩-急-緩という2つの楽章から出来ています。1曲目では、ほとんど無調とも思えるような不思議な音階によるコラールのような穏やかな部分と、まるで鳥の声のようなちょっと動きのある部分とが交互に出てきますが、それはご想像通りまさにメシアンのエピゴーネンです。次の楽章こそはヴィドール風の早いパッセージに支配されていますが、最後の楽章ではもろメシアンの和声が聴こえてくる中で、とても癒される美しいメロディが歌われます。
もう1つの作品は「オルガンのための晩祷」という、全部で9つの曲から成る大曲です。こちらは2003年に作られたもので、もはやメシアンの呪縛からは解き放されて、この作曲家本来のセンスがのびのびと表れているような気がします。それでも、ヴィドール風の部分はかなり残っているので、それは彼自身の個性の反映でもあるのでしょう。最初と最後の曲は、そんなヴィドールのテイストが満載ですが、曲全体の構成はとても巧みで、様々なキャラクターをもった曲が続くので退屈とは無縁です。例えば、6曲目のとてもシンプルなのにしっかり深淵が表現されている曲のすぐ後には、一転して明るさ満載のマーチ風の曲が来る、といった感じです。余談ですが、3曲目では「あ~る~晴れた、ひ~る~さがり」という「ドナドナ」によく似たメロディが聴こえますし、8曲目の「祈り」という穏やかな曲の中には、ダース・ベイダーのテーマが現れたりします。
合唱は、ほとんどのものが宗教曲で、それこそアマチュアの合唱団で歌うことを想定しているのでしょう、なんとも素直な作り方で、おそらく実際に歌っている時にはとても素敵な気持ちになれるようなものです。「偉大なる指導者来たれり」(2001/2006年)と「良き羊飼いはわが救い主」(2009年)は、それぞれ8小節と4小節のシンプルな伝承曲のようなものを何回も繰り返す(同じハーモニーで)というだけの親しみやすさです。
ただ、女声だけで歌われる「翼」(1978年)だけはこの中では唯一宗教曲ではありません。これはハーモニーもちょっと複雑で、作品としての主張がしっかり込められたものになっています。
オルガンも合唱も、演奏自体はとてもしっかりしたものなのですが、なぜか録音が全然冴えません。オルガンは、特にリード管などが入ってくると音が濁ってきますし、合唱は最初から最後まで混濁がなくなりません。これはコンダクターではなく、エンジニアのプレベン・イワンの責任、この教会の音響に問題があるのか、マイクのセッティングを誤ったのか、彼の今までの録音からは考えられないようなひどい音でした。

CD Artwork © Dacapo Records
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by jurassic_oyaji | 2015-06-23 23:29 | 合唱 | Comments(0)