おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
RAVEL/Daphnis et Chloé
c0039487_00260637.jpg


Yannick Nézet-Séguin/
Rotterdam Philharmonic Orchestra
BIS/SACD-1850(hybrid SACD)




ネゼ=セガンが、音楽監督を務めるロッテルダム・フィルと録音したラヴェルの「ダフニスとクロエ」全曲です。「第2組曲」こそ耳にする機会は頻繁にありますが、「全曲」はなかなか聴けません。せっかくですので、しっかりスコアを見ながら聴いてみることにしました。
この作品は、全部で3つの部分に分かれていまが、スコアには「第3部」の始まりの場所は明示されているものの、「第2部」がどこかからなのかはどこにも記されていません。ただ、「第1部」と「第2部」との間には、非常に印象的な、無伴奏の合唱だけで演奏される部分があります。しかし、この部分が「第1部」の最後なのか、「第2部」の最初なのかは、いまいち曖昧な状況です。今回のSACDやIMSLPでは「第2部」になっていますが、WIKIでは「第1部」に含めている、といった感じで「定説」がないのです。こんな大切なことが分かっていないなんて。
さらに、有名な「第2組曲」にしても、その中は「夜明け」、「パントマイム」、「全員の踊り」という3つの部分に分かれているのですが、その切れ目は楽譜には明示されてはいないのですね。そもそも、よく「『第2組曲』は『第3部』そのもの」と言われていますが、そこからが違っています。「第3部」の始まりだけはしっかり楽譜にあるので確実なことですが、「3me PARTIE」と書かれているのは練習番号「153」の、弦楽器のグリッサンドの中に合唱が入ってくる場所で、「第2組曲」の始まりの超細かいフルートのパッセージが出てくる練習番号「155」の10小節も前なのですから(このSACDでは、この件で楽譜と異なる場所にトラック・ポイントを打ったことを釈明しています)。
まあ、それは「第2組曲」のスコアが練習番号「155」から始まっているので問題ではないのですが、さっきの3つの部分のタイトルは全曲版のスコアには書かれてはおらず、この「第2組曲」のスコアの最初に書いてあるだけなのです。ですから、いろいろなCDを調べると、「パントマイム」の始まりは練習番号「170」の、オーボエが9/8で牧歌的なフレーズを始める部分と、練習番号「172」の拍子が6/8に変わってテンポも遅くなる部分との2種類があります。「全員の踊り」の始まりにしても、いかにも「踊り」らしい練習番号「194」の5/4のところではなく、その5小節前の練習番号「193」からとしているCDの方が多くなっています。
今回のSACD、まず、やはり注目したいのはソロ・フルートを担当しているこのオーケストラの首席フルーティスト、ジュリエット・ユレルの演奏です。彼女のソロ・アルバムは何枚か聴いていますが、そこで感じた存在感の薄さはなんだったのか、と思えるほど、オーケストラの中での彼女は輝いていました。「パントマイム」での長いソロは、とてもエレガントで繊細なもの、その細かい表情の変化に、ネゼ=セガンはぴったりとオーケストラを付けています。アルト・フルートやコール・アングレのようなあまり目立たない楽器の人たちも、とても素晴らしいですね。
そして、SACDならではのダイナミックレンジの大きさを使い切った録音も聴きものです。そこで、気が付くのが、「第3部」のモヤモヤした部分が終わって、牧童が遠くを歩いていく様子を描いたピッコロとEsクラリネットのソロが、本当に「遠くから」聴こえてくることです。これは楽譜には「ステージ上で」という指示があって別に普通にオーケストラの中で吹かれるところなのですが、おそらくここだけはあえてステージの裏で演奏させていたのではないでしょうか。
同じような操作は、合唱でも見られます。こちらは、「ステージ裏で」とか「少し近づいて」とか「ステージの上で」とかなり細かい指示がスコアにはあるのですが、多分(実際に見たことはないので)コンサートではそこまではやっていないものを、きちんと音であらわしているのでしょう。

SACD Artwork © BIS Records AB
[PR]
by jurassic_oyaji | 2015-07-01 00:28 | オーケストラ | Comments(0)