おやぢの部屋2
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PROKOFIEV/Symphony No.3, Scythian Suite
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Marin Alsop/
São Paulo Symphony Orchestra
NAXOS/NBD0047(BD-A)




BD-Aの分野ではパイオニア的な位置づけのNAXOSは、数こそ多くはありませんがコンスタントにBD-Aのリリースを続けているようです。某UNIVERSALなどはほんとにたまにしか出してくれませんし、某SONYときたら、最近は全くなりをひそめている、といった感じでしょうから、このように地味にコツコツやってくれる方がありがたいものです。最近は、日本の法人、ナクソス・ジャパンもハイレゾにはとても熱心な姿勢を見せているようですから、これからもその方面で期待が持てるのではないでしょうか。
最近のBD-Aの注目アイテムは、なんと言ってもプロコフィエフの交響曲ツィクルスでしょう。これまでに3枚のアルバムで1、2、4、5番と出してきましたが、今回は交響曲第3番と「スキタイ組曲」などのアルバムです。なぜかCDとBD-Aとでは全く異なるジャケットを採用して、しっかり差別化を図っているというのも、新機軸。
演奏しているのが、マリン・オールソップ指揮のサン・パウロ交響楽団というのも、ちょっと気になります。サン・パウロ交響楽団(正式にはサン・パウロ州立交響楽団、ポルトガル語では「OSESP」という略称ですが、英語表記にしたときに「州立」に相当する「S」がなくなっています)といえば、かつてはジョン・ネシュリングの指揮でとてもユニークなベートーヴェンなどを聴かせてくれていましたが、そのネシュリングは2009年に辞職、その後を受けたヤン・パスカル・トルトゥリエの次に、2012年から首席指揮者、2013年からは音楽監督も務めているのが、オールソップなのです。さらに彼女は、2007年からアメリカのメジャー・オケ、ボルティモア交響楽団の音楽監督というポストも持っていますが、こちらはそのあまりの相性の良さに、2021年までの契約の延長が決定しているのだそうです。
まずは、最初に収録されている「スキタイ組曲」を聴いてみましょう。これは古代イランのお話によるバレエが元になっていたのだとか。ただ、それをあのディアギレフに見せたら、彼は「『春の祭典』の二番煎じだ」と言って取り上げてくれなかったため、オーケストラの組曲にした、というものです。4つの曲から出来ているうちの2曲目が、特に吹奏楽業界では非常にもてはやされているのだそうですね。なんせタイトルが「邪神チェジボーグと魔界の悪鬼の踊り」というのですから、まるでゲーム音楽みたいにいかにも派手な音楽であるような気がしてきます。スターウォーズとか(それは「チューバッカ」)。ただ、元のタイトルを直訳すると「敵の神と暗黒の精の踊り」というだけで、そんなおどろおどろしい名前は出てこないものを、わざわざバレエに登場するそんな名前を持ってきて「邦題」にした、というセンスがすごいですね。
したがって、このトラックは「オーディオ的」にも非常に聴き甲斐があるということで、このレーベルのハイレゾ配信専用アルバムのメイン・タイトルになっているぐらいです。確かに、これは吹奏楽にはもってこいのいかにもなツボが満載な曲ですが、それ以上でもそれ以下でもないことが、なまじ音がいいだけに切実に感じられます。音楽としてはその次の「夜」の方がはるかに味のあるものですが、あいにく弦楽器の入っていない吹奏楽では、このオーケストレーションの妙は、彼らは一生味わえないことでしょう。
そして、先日聴いた「炎の天使」のモティーフをリサイクルして作られたという「交響曲第3番」では、やはり理詰めの交響曲というのではなく、もっと生生しいあの官能的な音楽の渦に巻き込まれるという快感が待っています。そんな中で、第3楽章で現れる弦楽器のグリッサンドは、まるでクセナキスのようなテイストで迫ってきます。こんなところ、オペラにはあったかな?という気になりますが、これは録音の良さと、オールソップとゲルギエフの目指しているものの違いが現れた結果なのかもしれません。

BD Artwork © Naxos Rights US, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2015-07-12 22:54 | オーケストラ | Comments(0)