おやぢの部屋2
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MOZART/Die Entfürung aus dem Sarail
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Diana Damrau, Annna Prohaska(Sop)
Roland Villazón, Paul Schweinester(Ten)
Franz-Josef Serig(Bas), Thomas Quasthoff
Yannik Nézet-Séguin/
Chamber Orchestra of Europe
DG/00289 479 4064




DGで進行中のモーツァルトのオペラ選集の録音は、「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」と来ていたので、次は「フィガロ」かな、と思っていたら、あっさり予想を裏切って「後宮」が出てきました。このシリーズは、バーデン・バーデンで毎年7月に行われていたコンサート形式のライブ録音を順次リリースするというやり方でCDが作られていたものが、前作までは2011年の次は2012年と、きちんと1年ごとに録音されていたのに、今回は2014年の録音、この間にいったい何があったというのでしょう。
当初の計画では指揮者は何人かの人が立てられる、というものだったように記憶していますが、ここまではすべてネゼ=セガンの指揮によるものになっています。こうなったら、最後まで彼に任せることになるのでしょうか。確かに彼の演奏はとてもユニークなものですから、ここで別の指揮者に引き継がれたとしたら、せっかくの選集の位置づけがあまり意味にないものになってきそうですね。まあ、現在のレコード業界の状況では、そもそも選集(7作品と言われていましたね)が完成するという保証すらないわけですが。
そのネゼ=セガンのユニークさは、外面的なところではオーケストラに通奏低音としてフォルテピアノが参加しているという点です。オペラ・ブッファであればレシタティーヴォ・セッコで使われますから何の違和感もないのですが、今回の「後宮」のようなジンクシュピールでこれを使うというのはとても珍しいことではないでしょうか。少なくとも今までの録音やライブで出会ったことは皆無です。しかし、ここでのフォルテピアノ(演奏しているのはこちらでジョシュア・スミスと共演していた、副指揮者でチェンバリストのジョニー・ヴィニクール)の、ここぞというところで現れて見事に音楽に華を与えるセンスの良さには、感服です。そういえば、5番の合唱の前に聴きなれないマーチが入っていましたね。
いつもながらの、ネゼ=セガンの独特のモーツァルト節も全開、時には不必要なほどオケを歌わせているのはちょっと煩わしく感じられることもありますが、それによってこの聴きなれたオペラがとても新鮮に感じられるような新たな発見があるのは、うれしい体験です。たとえば、11番のコンスタンツェのアリアの中でのコンチェルタンテの表情づけなどは、かなりショッキング。
キャストの中にもう引退したはずのクヴァストホフの名前がありましたが、それがセリムの役だったので納得です。これはセリフだけのロールですからね。しかもコンサート形式ですから・・・。
ソリストに関しては、まず、最も期待していたダムラウ(コンスタンツェ)がちょっと、だったのが、非常に残念でした。なにか、今まで聴いてきた彼女には見られない慎重な姿勢が多く見られることに失望されました。コロラトゥーラなどで、いかにもな段取りが感じられてしまうのですよね。これを見せてはだめだろう、みたいな。もはや下り坂に向かって、あらゆる意味で「守り」に入ってきた、ということなのでしょうか。
それを帳消しにしてくれたのが、ブロンデのプロハスカです。こちらはまさに「旬」、やっていることがすべて良い方に作用するという勢いがあります。8番のアリアでは何回も繰り返されるメロディの装飾を、全部違うものにするという余裕まで見せていましたね。同じく若手のシュヴァイネスター(ペドリッロ)も伸びのある声で楽しみな人です。そして、ワーグナーでおなじみのゼーリッヒのオスミンも、完璧です。ちょっと理知的すぎるかもしれませんが。
もちろん、ヴィリャゾンがベルモンテでモーツァルト好きを満足させられるわけはありません。誰しもが、とてもおぞましいものを聴いたと感じることでしょう。もうこのシリーズからは外れてほしいものです。

CD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2015-07-15 10:40 | Comments(0)