おやぢの部屋2
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SONGS
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Sugar Babe
SONY/SRJL 1090-1(LP)




ポップス系のアーティストが「デビュー」という場合には、それはクラシックみたいに最初にコンサートを開いた時ではなく、レコード、あるいはCDが発売された時のことを指します。「ポップス」という言葉自体が、「大衆的」という意味を含んだものであるように、この世界ではアーティストは多くの大衆を相手にその演奏を聴いてもらうという前提で活動していますから、それを可能にするメディア(つまり、レコードやCD)が大衆に入手可能になった時点を「デビュー」と定義しているのです。
山下達郎が最初に自分が参加したバンドのレコードを発売したのは、1975年4月25日のことでした。その日から数えて今年は40年目、達郎は「デビュー40周年」を迎えたアーティストとして、今でも最前線で活躍しているのです。
そんな記念の年ですから、その彼のデビューアルバムの再発売が企画されるのは当然のことです。オリジナルはもちろんLPでしたが、それ以後CD化され、さらに何度もリマスタリングの手が加えられて、この「SONGS」というアルバムは、日本のアーティストでは非常に稀なことですが、終始オリジナルのアートワーク、コンテンツで発売され続けていたのです。今回は、そんなリイシューもこれが最後になるであろうという意味も込めて、CDでは「アルティメット・エディション」ということでなんとリマスター盤の他に、新たにマスターテープ(16チャンネル)からミキシングを行った「リミックス盤」も加わった2枚組のアルバムが発売されました。これには、ライブ・テイクなどの音源が15曲もボーナス・トラックとして収められています。
そして、同時に発売されたのが、このLPです。ジャケットはオリジナルを忠実に復刻したものですが、音源はオリジナルのアナログテープではなく、デジタル・リマスターが施されたものが使われています。さらに、カッティングも、余裕をもって外周を使えるようにあえて2枚組にしています。当然、コンテンツはオリジナルの11曲だけで、ボーナス・トラックはありません。これは、生産限定盤で、ネットでしか購入できません。発売日もCDと同じ8月5日でした。
なぜCDよりも高価でボーナス・トラックも入っていないLPを買ったのかは、もちろんこちらの方が格段に音が良いからです。これは、今まで何枚かの達郎のアルバムをCDとLPとを聴き比べて分かっていたことです。今回も、2012年のベスト盤の中に2曲同じものが収録されていたので比較してみましたが、その差は歴然としていました。特に際立っていたのが、ストリングスなどが入っている「雨は手のひらにいっぱい」です。これは、プロデューサーの大瀧詠一の意向で、フィル・スペクター風の「ウォール・オブ・サウンド」を目指したアレンジになっていますが、そのキモのカスタネットの音と、それの残響が、CDではとてもちゃちに聴こえてしまいます。もちろん、ストリングスの肌触りはLPでなければ再現できないものです。
もちろん、今ではLP並の音が再生できるデジタル・メディアも存在します。しかし、達郎はそういうものにはあまり積極的ではないように見えます。先日もラジオで、「将来のハイレゾ化を見据えて」ということで、今回のリミックス用のマスターは「ハイレゾ」でトランスファーしたそうですが、そのフォーマットが「24bit/48kHz」というのですからね。それを「CDを超えたハイエンドのスペック」と言っているのですから、そもそもハイレゾ自体にもあまり興味はなさそうですね。
このアルバムは、大瀧詠一が「笛吹銅次」という名前でエンジニアリングにも携わっています。これは、「金次」、「銀次」という業界人にちなんだ「芸名」なのですが、その元ネタはもちろん「笛吹童子」ですね。ところが、このオリジナルLPの裏面のクレジットがその「童子」になっているのはどうじて?あるいは、これは、大瀧さんならではのジョークだったのでしょうか。


LP Artwork © The Niagara Enterprises
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by jurassic_oyaji | 2015-08-04 23:27 | ポップス | Comments(0)