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French Flute Concertos
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Frank Theuns(Fl)
Les Buffardins
ACCENT/ACC 24297




このACCENTというベルギーのレーベルは、「ピリオド楽器の第2世代」と言われたクイケン兄弟などをメイン・アーティストにして1978年に設立されました。発足当時のLPは国内プレス盤も発売され、録音の良さとクイケンたちの「新しい」スタイルによって、多くのファンを獲得します。
このレーベルを作ったのは、フルート(もちろんピリオド楽器)製作者であり、レコーディング・エンジニアでもあったアンドレアス・グラットです。彼は、この「アクサン」レーベルを奥さんのアデルハイド(やはり、ヴィオール奏者でエンジニア)との2人だけで運営し、多くのレコードを作り続けたのです。
この二人による録音、制作という体制はおそらく2000年代までは続いていたのでしょう。手元にあるCDを調べてみると、2010年代に入るとクレジットからはこの二人の名前が消えて、例えばノイブロンナーなどが登場するようになっていますから、おそらくこの頃にレーベルの活動の第一線からは退いたのではないでしょうか。
今回の最新の「アクサン」レーベルのCDを手にしたら、ブックレットの最初に、このアルバムのアーティストであるフランク・トゥーンスによる、「このレーベルの創設者であり、2013年に鬼籍に入ったアンドレアス・グラットにこの録音をささげる」という献辞がありました。もう亡くなっていたのですね。そういえば、最近は経営母体も変っているようですね。
クイケン兄弟とかグスタフ・レオンハルトなどに師事した、いわば第3世代のピリオド・プレイヤーの一人であるトラヴェルソ奏者のトゥーンス(「トインス」とか「トゥンス」といった表記もありますが、これがおそらく最も近い発音?)が、同じ門下生仲間を集めて作ったアンサンブルが「レ・ビュッファルダン」です。彼らはこれまでACCENTで多くの録音を行ってきましたし、トゥーンスはジギスヴァルト・クイケンの「ラ・プティット・バンド」やインマゼールの「アニマ・エテルナ」のメンバーとして、多くのレーベルでの録音に参加しています。その「アニマ・エテルナ」のアルバムではドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」のソロをモダン・フルートで吹いていたりするのですから、なかなか柔軟な一面もあるのでしょう。
今回のアルバムは、フランスの作曲家によるフルート協奏曲を集めたものです。ラインナップはルクレール、ブラヴェ、コレット、ビュッファルダン、ノード、ボアモルティエという、よだれの出そうな豪華メンバーのオンパレード、ただ、実際に聴いたことのあるフルート協奏曲はブラヴェのものだけだったので、それぞれの曲の魅力を新鮮に味わうことが出来ました。
トゥーンスの演奏は、先ほどのドビュッシーとは全然違う、まるで水を得た魚のよう、ちまちましたところのない直球勝負で迫ります。メカニカルな部分はあくまで正確に、リリカルな部分はしっとり歌うというとても気持ちのいいものです。聴きどころは、真ん中のゆっくりした楽章。イタリアの作曲家の場合ではごてごてと装飾を付けるのでしょうが、ここは「おフランス」ですから、メロディそのものの美しさをダイナミックに前面に出してくれています。特に、あのクヴァンツの先生だったビュッファルダンの、前後を短調の楽章に挟まれたなかで、長調の美しいメロディを奏でるアンダンテの楽章は、とても心にしみます。
ノードの協奏曲は、元々はハーディ・ガーディのために作られたものだそうですが、トゥーンスは「ピッコロ」で演奏しています。でもこれは横笛のピッコロではなく、どうもソプラノ・リコーダーのように聴こえるのですが、どうでしょう。
エンジニアが替わっても、グラットが作り上げた「アクサン・サウンド」は正しく継承されているようです。チェンバロの繊細な響きはとても魅力的、ただ、チェロの音だけちょっと輪郭がぼやけているのはノーマルCDだからでしょうか。

CD Artwork © Note 1 Music GmbH
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by jurassic_oyaji | 2015-09-13 20:10 | フルート | Comments(0)