おやぢの部屋2
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ORTIZ/Gallos y Huesos, Notker
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Tine Rehling(Hp)
Christopher Bowers-Broadbent(Org)
Paul Hillier/
Ars Nova Copenhagen
ORCHID/ORC100048




ポール・ヒリアーが首席指揮者を務めるデンマークの室内合唱団「アルス・ノヴァ・コペンハーゲン」のCDは、今までに主に地元デンマークのレーベルであるDACAPOからリリースされていました。そのほかにも、HARMONIA MUNDIからのものも有ったでしょうか(HMでは、同じヒリアーが指揮をしていてメンバーも重なっているシアター・オブ・ヴォイセズとの共演)。しかし、彼らの最新のCDが出たというのでチェックしてみたら、それはなんとイギリスのレーベルORCHIDからリリースされているではありませんか。このレーベル、イギリスの合唱団のものなどは多少出しているようですが、なんでデンマークの合唱団?という気がしてしまいます。まあ、指揮者のヒリアーはイギリス人ですけどね。
しかし、製作スタッフの名前を見てみると、プロデュースもエンジニアリングもDACAPOレーベルではおなじみのプレヴェン・イヴァンでした。ということは、原盤製作にはタッチしないで、販売だけを担当した、というケースなのでしょうか。こういうグローバルな商売の実態というのは、分かりづらいところがあります。
ただ、そういうことであればサウンド的には今までのDACAPOと同じものが保障されるのですから、聴く方としてはありがたいことです。おそらくマスターはDXDで録っているのでしょうから、ただのCDだというのが、ちょっとなんですが。
このアルバムで自作を披露しているのは、ヒリアーとは昔からの友人であるアルゼンチン出身の作曲家、パブロ・オルティスです。1956年に生まれ、若いころからタンゴとアーリー・ミュージックに夢中になっていたのだそうです。もう30年も前からアメリカで活躍しています。
ここで演奏されている2つの合唱作品は、なんともとっつきにくいタイトルとテキストです。まずは「おんどりと骨」という、とてもシュールなタイトルが付けられたソプラノ3人、アルト2人、バリトン1人とハープのための作品です。セルジオ・チェイフェクという作家によって書かれたスペイン語のテキストは、とても難解。一応ブックレットに英訳もありますが、何回読んでも理解できません。仕方がないので意味を考えるのは諦めて、ひたすら音楽に浸ることにしましょうか。聴こえてきたのはハープの伴奏に乗って、まるで風のように漂っている女声合唱でした。抑揚の少ないそのメロディは、積極的に何かを表現しようという意志を完全に捨てているかのように思えます。何しろ、ジャケットには堂々と「不可解な音楽」と書かれているのですからね。それに加えて「タンゴがヒント」という、さらに「不可解」さを募らせる言葉が続きます。この曲のどこから「タンゴ」を聴きとればいいのでしょうか。
そこへ行くと、もう一つの「ノートカー」の方が、まだ引っかかりが感じられます。こちらは男声だけ8人のアンサンブルで歌われますが、そこにオルガンが加わるという編成です。なんでも、この「ノートカー」というのは1000年以上前に実在していた歯が抜けてドモリの修道僧なのだそうです。その人が作ったとされるラテン語のテキストをヒリアーに見せてもらって、オルティスは曲を作ろうと思ったのだそうです。オルガンだけで演奏される部分もありますが、それらを含めてかなり尖がった作風、前の曲に見られたような流麗さは全くありません。ただ、それはいわゆる「現代的」な無秩序の世界ではなく、それこそ中世のペロタンあたりが作ったオルガヌムのような、まだ西洋音楽の洗練が形成される前の音楽のようなテイストが感じられるものでした。確かに、この時代の音楽には、「ドモリ」を思わせるような要素もありましたね。そして、それが作曲家の「アーリー・ミュージック」志向と一致したのでしょう。
録音は、予想通り素晴らしいものでした。ただ、やはりそれはCDの範疇でのこと、本来のハイレゾでぜひ聴いてみたいものだという望みは、当然起こってきます。

CD Artwork © Orchid Music Limited
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by jurassic_oyaji | 2015-09-16 00:08 | 合唱 | Comments(0)