おやぢの部屋2
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世の中には欠陥CDがゴロゴロ転がっています
 きのうの「おやぢ」では、演奏は非常に素晴らしいのに、その足を録音エンジニアが引っ張っているというCDを取り上げました。いや、録音そのものにはおそらく何の問題もないのでしょうが、その後の「編集」の段階でミスを犯してしまったという事例です。それは、第4楽章の冒頭、楽譜上はこうなっている箇所です。
 ファースト・ヴァイオリンが軽やかなテーマを奏でて始まるこの楽章、実はそのテーマは2拍目から始まっています。そして、1拍目にはセカンド・ヴァイオリンによってそのテーマを導き出すトレモロが演奏されます。つまり、音楽自体はテーマの1拍前から始まっているのですね。まずは四分音符1個分のトレモロを聴いてから、おもむろにテーマを味わう、という趣向です。そんなに速い曲ではありませんから、その、トレモロだけの1拍目というのはけっこう長い時間です。それを、きのうのCDではまるまるカットしていたのですよ。もちろん、演奏家は楽譜通りに演奏していたはずなのに、それを編集する段階で楽譜もろくすっぽ読めないエンジニアが、テーマが出てくるところが楽章の始まりだと思って、1拍分をカットしてしまったのでしょう。
 実は、こういういい加減なことをやっているのは、このCDだけではありません。いろいろ音源を聴き比べてみると、例えばスクロバチェフスキとかクライツベルクとかネゼ・セガンといった有名な指揮者のCDでも、同じように1拍目がカットされているのですよ。これは、エンジニアでも、マスタリング・エンジニアという人の仕事の範疇になるのでしょうが、こういう基本的なことが分かっていない人が多いのでしょうか。そういえば、だいぶ前にショスタコーヴィチの「交響曲第9番」で楽章の切れ目が間違っていたCDが、サンプルからその欠陥が発覚して結局全品回収して新しくプレスしなおした、ということがありましたね。それも、楽譜が読めないマスタリング・エンジニアのケアレス・ミスが原因でした。
 まあ、その程度のミスであれば、普通の人なら聴いていてほとんど気にならないものですが、もっとお粗末なものが堂々と商品として流通しているということもあるので、事態は深刻です。これは、こちらのCDの中にある欠陥部分です。この記事にも書きましたし、これを購入したショップと、輸入した代理店、さらにはレーベルそのものにもそれなりのやり方で「不良品ですよ」ということをお知らせしたのですが、そのいずれからも何の反応もありません。
 それがどれほどのミスなのかを、実際に聴いてみてください。音源はこちらにあります。R.シュトラウスの「家庭交響曲」の、練習番号「64」から「65」までの間を抜き出した音です。これを聴くと、0:30付近で突然不自然に音楽が変わっているのが分かるはずです。それに気が付かないような人は、そもそも音楽を聴く資格はありません。そして、これは楽譜を見ながら聴かないとまず分からないでしょうが、さっきまで聴いていた0:07付近からの音楽なのですよ。つまり、ここでは0:07から0:30までの23秒間がまるまる繰り返されているのです。もちろん、これは音楽的には全く意味のない、単なるデータの切り貼りの場所を間違えただけのミスでしかありません。
先ほどのショスタコーヴィチでは不良品は回収されたのですが、このCDは、これだけのひどいミスがあるというのに、そしてそれが分かっているはずなのに、今のところ回収して新しい正規品を提供しようとする動きは全く見られません。確かに、こんな、売れてもたかだか数十枚のCDのためにそんなことを行うほど、今のCD界には余裕はないのかもしれません。でも、そんなことをやっていることこそが、自らの首を絞めることになっていることには気づかないのでしょうね。
配信データではどうなのか確かめたいところですが、今のところe-onkyoではリリースはされていないようです。NMLはだめですよ。あそこはCDのデーターをそのまま転用しているだけですから、同じミスが聴こえるだけです。こちらのトラック4、5:16付近で確かめてみてください。
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by jurassic_oyaji | 2015-09-18 21:10 | 禁断 | Comments(0)