おやぢの部屋2
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Mac MILLAN/St Luke Passion
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Peter Dicke(Org)
Markus Stenz/
Netherlands Radio Choir
Netherlands Female Youth Choir
Netherlands Radio Philharmonic Orchestra
CHALLENGE/CC72671(hybrid SACD)




ジェイムズ・マクミランの新作、「ルカ受難曲」は、2012年から2013年にかけて作曲され、2014年3月15日に、アムステルダムのコンセルトヘボウで行われた「オランダ放送サタデー・マチネ」で初演されていまちね。その時のライブ録音がSACDでリリースされました。
これは、マクミランの「受難曲」としては2008年に初演された「ヨハネ受難曲」に続く2作目のものとなります。ただ、「ヨハネ」の場合は演奏時間は1時間半、オーケストラも合唱もかなりの大人数を必要としていましたが、今回の「ルカ」はそれに比べるとだいぶコンパクトにはなっています。演奏時間は73分ですので、CD1枚に収まりますし、オーケストラは基本的には2管編成ですが、フルートとクラリネットは1本だけ、トロンボーンとチューバは含まれないという少なめの管楽器、さらに、ティンパニ以外の打楽器も使われてはいません。ただ、ティンパニと金管が登場するときには目いっぱい大音量で迫りますし、さらにオルガンも加わりますから、「小編成」という感じは全くありません。それと、少なめの弦楽器がとても繊細な響きを披露する場面との対比が見事ですから、とても多彩な表現力が感じられるオーケストレーションです。
ところが、例によって参考のために代理店であるキングインターナショナルが作ったインフォを読んでみたら、「オーケストラの規模は、フルート、クラリネット各1本で、トロンボーンやチューバ、ティンパニを含む打楽器は含まれていません。」と、なんだか全然別のCDのインフォか、と思えるようなことが書いてありました。これは、ブックレットにある「a single flute and clarinet, no trombones or tuba and no percussion instruments apart from timpani.」を翻訳したものなのでしょうが、なんという語学力でしょう。きちんとした編成は出版元であるBoosey & Hawkesのサイトで簡単に知ることが出来るのに。
まあ、そんな「使えない」代理店の情報などはあてにしないに越したことはありません。なんたって、ブックレットには必要な情報はすべて載っているはずですから、それをきちんと読めばいいだけの話です。ただ、困ったことにこのブックレットにもなんだか怪しげなことが書かれているのですから、ひどい話です。この作品は、前作同様、聖書の福音書をそのままテキストに使っているだけで、それ以外の「コラール」や「アリア」はありません。そこで、とてもユニークなことにイエスが語る部分を「児童合唱」に歌わせているのですが、ブックレットではこの合唱団は「16歳以上の若いシンガーが、オランダ中から集まった女声合唱団」になっています。しかし、ここで歌っているのは「女声」ではなく、間違いなく「児童合唱」か「少年合唱」です。
もう一つ、歌詞はすべて英語なのですが、それがどこにも載っていませんし、公式サイトなど別のところにあるという案内もありません。これは重大な欠陥です。
全体は4つの部分に分かれています。「プレリュード」では、ルカ福音書の最初の方にある、聖母マリアが受胎告知を受けたときに唱える有名な賛歌「マニフィカート」からテキストが取られています。そして、その後は「受難」のシーンである「第22章」と「第23章」が続きます。そして最後に、「ポストリュード」として、「復活」と「昇天」の場面が歌われます。音楽はいつもながらの「マクミラン節」が満載、オーケストラのクラスターやグリッサンドをバックに早口でまくしたてる様は、まるで「ラップ」のようです。
曲の冒頭から、堂々とした合唱がティンパニだけをバックに盛大に聴こえてくることからも分かるように、この作品ではあくまでも主役は合唱です。ですから、時折聴こえるヴァイオリンのささやきの繊細さなど素晴らしいところがたくさんあるこの録音の中で、合唱のテクスチャーが完璧には再現できていないのが、とても残念です。

SACD Artwork © Challenge Records Int.
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by jurassic_oyaji | 2015-09-19 21:09 | 合唱 | Comments(0)