おやぢの部屋2
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Lockrufe
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Meininger-Trio
Christiane Meininger(Fl)
Miloš Mlejnik(Vc)
Rainer Gepp(Pf)
Roger Coldberg(Bass/guest)
PROFIL/PH15020




「マイニンガー・トリオ」のコンサートは、いつも満員だぁ。いや、そんなことは分かりませんが、「マイニンガー」と聞いてイメージしたのは、「シュワルツェネッガー」みたいな屈強な男の姿でした。でも、パーソネルを見てみるとそのマイニンガーさんはクリスティアーネ・マイニンガーという女性でした。ジャケット裏の写真見ると、屈強な男は残りの二人、ピアノのライナー・ゲップとチェロのミロシュ・ムレイニクでした。この、いかにも若作りのマイニンガーおばはんは、日本の着物の「帯」をワンピースに巻いているようですね。ただ、ドイツ人はともかく我々日本人は帯締めが「縦結び」になっている時点でもうこの人のファッション・センスを疑ってしまうことでしょう。なんたって、これは死装束の結び方ですからね

それはともかく、このおばはんを中心にしたトリオは、活発に同時代の作曲家に作品を依頼してそれを演奏しているのだそうです。今回のCDには全く名前を聞いたことのない6人の作曲家が、それぞれ1曲ずつ曲を提供しています。もちろんすべてが世界初録音です。
この中での最年長、1943年生まれのライナー・リシュカの作品のタイトルが、アルバムタイトルにもなっている「Lockrufe」です。鳥が求愛のために叫ぶ鳴き声のことだそうですが、特にメシアンのように鳥の声を認識させられるようなモティーフが現れるわけではありません。もっと内面的な意味での「求愛」を音で表現した、というところでしょうか。冒頭ではフルートだけで、まるで尺八のような音色の演奏が聴こえてきます。そんな瞑想的な作品なのかと思いきや、いつの間にかピアノやチェロによってなんだか「ジャズ」っぽいビートが流れてくるようになると、それはまさに「ジャズもどき」の音楽に変貌します。「もどき」というのは、マイニンガーのフルートがとてもどんくさくて(ブレスに時間を取っている間に、どんどんリズムから乗り遅れていきます)、いくらなんでもこれを「ジャズ」と呼ぶのはためらわれるからです。「ジャズの要素もほんの少し加味された現代の作品」、という感じでしょうか。4つの「楽章」から出来ていますが、「Langsam」とか「Luhig」といったドイツ語表記が、まるでブルックナーみたいで笑えます。そのくせ、終楽章は「Samba feel」と言ってる割りには、全然「サンバ」っぽくないのも粋ですね。
1994年生まれのライナー・エブル・サカルの「Wind Touch」という作品は、なんでも2015年のアンカラでの作曲コンクール(それが、どの程度のレベルのものかは分かりません)で1位を取ったのだそうです。この録音は2013年に行われたものですから、受賞したのはその後のことになります。タイトルの爽やかさとはうらはらに、ダークなテイストに支配された曲です。
1986年生まれのメフメト・エルハン・タンマンの「Water Waves」という、まるで武満徹みたいなタイトルの作品は、基本ミニマル、その中にドビュッシー風のスローなパーツが挿入されています。
1963年生まれのジョエル・クーリーの「Arabian Fantasy in Blue」は、タイトルに逆らわない、アラビア風の「ブルース」。
1955年生まれのケイト・ウェアリングの「Lotus」は、その名の通り、「真っ白なハス」、「ハスの夢」、「ハスの心」という2つの楽章から出来ていますが、細川俊夫ほどのエロさはなく、やはりミニマルっぽいテーマの繰り返しや、リズム・パターンがはっきりしている今風の作品です。
そして、1977年生まれのブラシュ・プツィハルの「Full Moon Trio」は、もろ中国風の音階が使われたリリックな作品です。チェロが奏でるとても美しいメロディをフルートが奏でると、なぜかとても下品なものに変わるといったように、このフルーティストの音楽的なセンスは、ちょっと別の方向を向いているような気がしてなりません。写真の帯締めが気にならない人であれば、もしかしたらこれは楽しんで聴けるものなのかもしれません。

CD Artwork © Profil Medien GmbH
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by jurassic_oyaji | 2015-09-21 21:14 | フルート | Comments(0)