おやぢの部屋2
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STRAVINSKY/Le Sacre du Printemps, Petrouchka, L'Oiseau
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François-Xavier Roth/
Les Siècles
ACTES SUD/ASMSA-01/02(single layer SACD)




ロトと、レ・シエクルのヒットCD、「春の祭典、ペトルーシュカ」「火の鳥、オリエンタル」の2枚をシングルレイヤーSACDにして一つのパッケージに収めたものが国内制作でリリースされました。レーベルから提供されたオリジナルのマスター(フォーマットは明記されてはいません)をDSDに変換してマスタリングを行ったのは、そのレーベルの国内代理店キングインターナショナルの関連施設、キング関口台スタジオのマスタリング・エンジニア辻裕行氏です。
キングインターナショナルでは、最近ではCDでリリースされていたHARMONIA MUNDIのアイテムを国内盤でシングルレイヤーSACDとして出しているようですから、その流れでACTES SUDのアルバムも出されることになったのでしょう。なんたって、「春の祭典」は「名盤」と採点されたからこそレコードアカデミー賞の大賞をいただけたのでしょうからね。
アルバムの体裁は、既発の2枚のCDをそのまま2枚のシングルレイヤーSACDにして、デジパックに収めたというものです。アートワーク的には、ジャケットは「春の祭典」、ブックレットは「火の鳥」のそれぞれのオリジナルのジャケットを使い、曲目だけは全部表記するという形になっています。そのブックレットも、オリジナルのブックレットに掲載されているロトのインタビューと、オーケストラのメンバーと使用されている楽器のリストをそのまま忠実に翻訳したものが載っています。そこに、独自の企画として、管楽器の歴史に詳しいライターの佐伯茂樹氏の、とことんマニアックなエッセイと、曲目紹介が加えられています。オリジナルの「春の祭典」のCDにあったミスプリントも見事に直っていましたね。
シングルレイヤーSACDの音も、とても素晴らしいもの、最初にCDを聴いたときの物足りなさが、ことごとくクリアされているという爽快感がありました。ストラヴィンスキーではありませんが、「火の鳥」の余白に入っている「オリエンタル」というディアギレフの異国趣味コンピレーションの中で聴こえてくるタンバリンの存在感はまるで別物です。「火の鳥」の最後の高揚感も、CDでは明らかにリミッターがかかったように聴こえたものが、何のストレスもなくフォルテシモまで歪みなく聴こえてきます。そして、なんと言っても弦楽器の肌触りはCDでは絶対に味わえないもの、改めて、これだけの音がCDという規格のために無残に劣化している現状に腹を立てずにはいられません。
と、油断していると、ブックレットや帯では例えば「時代楽器」というようなわけのわからない言葉が出てくるのですから、「やっぱりな」という感じ、普通に「ピリオド楽器」とすれば、はるかに理解度は深まるものを。さらに、さっきの楽器のリストでは、楽器の製作者まできちんと表記されているのですが、その中のフルートについて「ボンヴィル製吹き口」などという訳が出てくると、ちょっと引いてしまいます。原文の「embouchure」は確かに「吹き口」という意味ですが、フルートで「吹き口」と言えば、唇を当てる部分のこと、その部分だけを簡単に取り換えることなどできませんから、これは「頭部管」と訳すのが正解でしょう。
マスタリングに関してもちょっとした疑問が。おそらく録音の新しい「春の祭典」の方はトラックの位置などもそのままトランスファー出来たのでしょうが、「火の鳥」ではキングの辻氏が新たにトラックを付けたような形跡があって、オリジナルとは微妙に異なったタイミングになっています。その中のトラック17「イワン王子の不意な登場」では、位置が大幅にずれていて、オリジナルは楽譜通り弦楽器のトレモロの部分ですが、キング盤ではそのあとのホルン・ソロが出てくるところになっています。これは明らかなミス、やっぱりキングインターナショナル、せっかくいい仕事をしているのに、どっかちぐはぐなところが出てきてしまうという体質は、変わらないのでしょう。

SACD Artwork © Actes Sud
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by jurassic_oyaji | 2015-10-15 19:51 | オーケストラ | Comments(0)