おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
SCHUMANN/Das Paradies und die Peri
c0039487_22583158.jpg
Sally Matthews(Peri), Mark Padmore(Nar)
Kate Royal(Sop), Bernarda Fink(Alt)
Andrew Staples(Ten), Florian Boesch(Bas)
Simon Rattle/
London Symphony Orchestra & Chorus
LSO LIVE/LSO 0782(hybrid SACD, BD-A)




シューマンの「楽園とペリ」の久しぶりの録音が出ました。おそらく、2005年に録音されたアーノンクール盤(RCA)以来のものなのではないでしょうか。このタイトルを見てはたと気が付いたのですが、「ペリ」には女性定冠詞の「die」が付いていますね。今まで、その「ペリ」というのは主人公である妖精の名前だと思っていたのですが、じつは「Peri」自身が「妖精」という意味を持っている普通名詞だったのでした。黒船に乗ってきた人とも違います(それは「ペリー」)。そういえば、この作品の後半では「ペリたち」が登場していましたね。
テキストの内容は、罪を犯して楽園(天国)を追放されてしまった一人のペリが、また楽園に戻るために必要な捧げものを求めてインドやエジプトをさまよって数々の出来事に遭遇し、その時に得たものを捧げものとして持ち帰るもそれは2度も拒絶され、3度目にして晴れて楽園への扉が開かれるというものです。当時大人気を博したトーマス・ムーアの異国情緒あふれる叙事詩「ララ・ルーク」を元に、シューマン自身も関わって作られた台本が用いられています。
1843年、シューマンがまだ30歳前半のころに作られた、この多くのソリストと合唱を伴う世俗オラトリオは、シューマン自身の言葉によれば「まったく新しいジャンルの作品」というべきものでした。全体は3つの部分に分かれていますが、それらはまるで3幕のオペラのようにレシタティーヴォ(もはや「シェーナ」というべきでしょうか)とアリア、重唱、そして合唱が混然一体となって進行するという、当時としては極めて斬新な形を持っていたのです。同じころには、あのワーグナーでさえ従来の「番号オペラ」の形を踏襲した「オランダ人」までしか完成させていなかったことを思うと、これは途方もないことなのではないでしょうか。事実、今回の指揮者ラトルは、「この曲にはワーグナーも嫉妬したはずだ」と語っているそうですからね。
ご存知のように2017/18年のシーズンを最後にベルリン・フィルのシェフを退任するサイモン・ラトルは、そのシーズンからロンドン交響楽団の音楽監督にも就任することがすでに決まっています。それに先駆けて、2015年の1月にロンドンで録音されたのが、このアルバムです。ラトルは2009年にもベルリン・フィルとこの作品を定期演奏会で取り上げています。その時の合唱団はベルリン放送合唱団ですが、その合唱指揮を務めているサイモン・ハルジーは、今回のロンドン・シンフォニー・コーラスの合唱指揮者でもあるというのも、何かの縁でしょうか。そういえば、ソリストもほとんどはこの2009年のメンバーが参加しているのだそうです。
ベルリン・フィルのバージョンは、例の「デジタル・コンサートホール」のアーカイヴで映像を見ることが出来るはずですが、このフォーマットではネット配信用の圧縮音源が使われていますから、音はそんなに良くありません。そこへ行くと、今回のものは、最近のこのレーベルのやり方である、SACDとBD-Aが同梱されているというパターンですから、音に関しては間違いなくベルリン・フィルのものを凌駕しているはずです。録音のフォーマットでは、今までは単に「DSD」だったものが「DSD 128fs」という書き方に変わっています。あまり見慣れない表記ですが、これはCDの128倍のサンプリング周波数、つまり、44.1kHz×128=5,644.8kHz(5.6MHz)という、SACDの2倍の周波数を持つ規格のことです。通常、SACDの音は24bit/96kHzのPCMと同等だと言われていますから、こうなってくると、24bit/192kHzのBD-Aとを比べたときの音の差は歴然としています。
そんな素晴らしい音で聴くロンドン交響楽団は、ラトルの指揮のもとでとても柔軟な演奏を繰り広げています。この組み合わせの演奏が、これからはこんなハイレベルの音で聴けるようになるのですね。とても楽しみです。あのバカ高いベルリン・フィル・メディアのBD-Aでも24/96ですからね。

SACD & BD-A © London Symphony Orchestra
[PR]
by jurassic_oyaji | 2015-11-05 23:02 | 合唱 | Comments(0)