おやぢの部屋2
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SIBELIUS/The Seven Symphonies
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Lorin Maazel/
Wiener Philharmoniker
DECCA/478 8541(CD, BD-A)




前回のリントゥとフィンランド放送交響楽団のシベリウスの交響曲全集は、全てが2015年に収録が行われたという、現時点で最新のものでした。そのフォーマットもHDの映像とハイレゾの音声という、やはり最新の技術が使われていましたね。
そんな最先端の全集に行きつくまでには、やはりさまざまな歴史がありました。調べてみると、シベリウスの交響曲をすべて録音した最初の指揮者は、アンソニー・コリンズだったようですね。彼がロンドン交響楽団とDECCAに録音を行ったのは1952年から1955年にかけてですから、当然モノラルでした。そして、世界で最初にステレオ録音を行ったのが、なんと渡邉暁雄と日本フィルという日本人のチームだったというのですから、少し意外な気がしませんか。それは1962年のこと、実際に録音を手掛けたのはレコード会社のスタッフではなく、当時の日本フィルの母体だった放送局だというのも、ちょっと意外です。ここではアメリカで、ブルーノ・ワルターとコロムビア交響楽団との録音セッションなどを見学してきた若林駿介がエンジニアを務めていました。制作したのは日本コロムビアで、提携先のアメリカのコロムビア(つまり、今のSONY)のサブレーベルであったEPICから全世界に向けて リリースされることになりました。
実は、そのアメリカコロムビアも、それに先立つ1960年からバーンスタインとニューヨーク・フィルによって全集の録音を始めていました。しかし、それが完成したのは1967年でしたから、「世界最初」とはならなかったのでしょう。そして、おなじころ、1963年から1968年にかけて録音されたのが、このマゼールとウィーン・フィルによるDECCAの全集です。さらに、1966年から1970年にかけてはバルビローリとハレ管弦楽団がEMIに録音を行い、メジャー・レーベルによる全集が出揃います。これらは、現在でもCDでのリイシューが繰り返されていますね。
それからは、メジャー、マイナーを含めて、多くのレーベルから全集が登場、様々なアプローチの演奏に触れることが可能となりました。そして、今年の「当たり年」には、さらに力の入った全集が何種類も誕生することになるのです。まずは、2013年にピエタリ・インキネンと、さっきの「ステレオ初録音」を行った(とは言っても、メンバーは全員替わっているはず)日本フィルとのライブ録音を集めたもの(NAXOS)、オッコ・カムが、ラハティ交響楽団と行なった、このオーケストラの2度目となる録音によるSACD(2012-2014 BIS)、サイモン・ラトルとベルリン・フィルとの2014年から2015年にかけてのライブのCD、BD-A、BD(映像)のセット、そして前回のリントゥのBDです。
そこに加わるのが、旧録音の別フォーマットによるリリースです。モノラル時代のコリンズ盤はLPに、そして、マゼールのDECCA盤はBD-Aとなって、装いも新たに登場しました。いずれも、最高の音質を求める姿勢が、アナログとハイレゾのデジタルという正反対のヴェクトルで達成された結果というのが面白いところです。
このマゼールの録音は、それこそLPの時代から良く聴いていたものでした。それが、CDになった時には、そのあまりにもLPとはかけ離れた音に失望したものですが、BD-Aは違います。そこでは、まさに待ちに待ったDECCAの録音の黄金期を作ったあのゴードン・パリーの素晴らしいサウンドが鳴り響いていました。やっぱりー彼の録音は最高です。有名なのはあの「指環」でしょうが、これはその少しあとに手がけたもの。プロデューサーも最初に録音された「1番」は、「指環」のジョン・カルショーです。それ以降は彼がDECCAを退職したのでエリック・スミスになっていますが、もちろん音が変わることはありません。
ここに漂っているのは、弦楽器から沸き立つ得も言われぬ馥郁たる香りです。それが前回のフィンランド放送交響楽団の最新録音では全く感じられなかったのは、オーケストラの違いのせいだけではないはずです。

CD & BD-A Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2015-12-03 20:37 | オーケストラ | Comments(0)