おやぢの部屋2
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WAGNER/Der Ring des Nibelungen
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Georg Solti/
Wiener Philharmoniker
DECCA/478 6748(BD-A)




BD-A(ブルーレイ・オーディオ)が初めて商品として出回ったのは、2009年だったのではないでしょうか。それは、ノルウェーのレーベル「2L」によるものでした。ここでは、超ハイ・スペック(24bit/352.8kHz程度)のPCMの規格「DXD」による録音を行っていて、それをご家庭で再生するために音声のスペックが最高で24bit/192kHzであるBDにいくらかサイズ・ダウンして収録したのです。これで、規格上はSACDより高解像度の音が再生できることになりました。
それは、当初は単なるマニアックなメディアでしかありませんでした。しかし、2012年にDECCAがステレオ録音の金字塔であるショルティの「指環」のCDを、新しくリマスターを行って豪華な装丁でリリースした時に、ほとんど「おまけ」というような形で、全曲を1枚に収録したBD-Aも一緒に付けてくれたおかげで、やっとSACDと並ぶハイレゾ再生のメディアとして認知されるようになったのです。確かにそのBD-Aからは、同じデジタル・マスターから作られたSACDをもしのぐ音を聴くことが出来ましたから、そのファンは確実に増えたはずです。とは言っても、その後の展開は必ずしも順調とはいえないようですね。
そんな、いわばパイオニア的な役割を果たした「指環」のBD-Aですが、やはりパイオニアならではの予測できない製造上の不備があったのでしょう、最近再生してみたら一部で音飛びが発生するようになっていました。その発生個所は確かに最初は問題なく聴けていたはずですから、経年的な要因、あるいはパッケージの問題があったのでしょう。なにしろ、いかにもとりあえず作りました、的な安っぽいボール紙の袋に裸で入っていただけ(下の写真の右側)ですからね。映像のBDでも、不織布の袋に保存していたらエラーが出るようになったということがあちこちで報告されていましたから、そんなこともあったのかもしれません。
そんな不良品を聴いているのはストレスがたまるので、この際、2014年の末にBD-A単品でリリースされてまだ市場にあったものを新たに買うことにしました。これではディスクは対訳(英語のみ)が掲載された分厚いブックレットの中の、ちゃんとしたデジパックに収納されていましたから、保存上の問題はなくなることでしょう。

ただ、せっかくのブックレットですが、そこにかなり重大な間違いが見つかりました。「ワルキューレ」の録音年代が「1963年」となっているのですよ。これは明らかなミスプリント、正しくは「1965年」です。DECCAよお前もか、という感じ、情けないですね。
つまり、最初に「ラインの黄金」が録音されたのが1958年、「ジークフリート」と「神々の黄昏」が1962年と1964年、最後に録音されたのが「ワルキューレ」です。「ライン」のころはまさにステレオ録音の最初期ですから、それからノウハウも習得してその7年後の「ワルキューレ」が一番いい音で録音されているのだと普通は思いますが、どうもそうではないようですね。とりあえず、不良品の口直しということでまずは「ワルキューレ」から聴きはじめたのですが、第1幕の第2場あたり、登場人物が3人になったところで、ジェームス・キングとゴットロープ・フリックの声がとても歪んで録音されていたのです。もう一人のレジーヌ・クレスパンだけは問題ありません。1980年代に最初にCD化されたものも聴いてみましたが、それも同じ状態でしたから、これはアナログのマスターテープそのものの歪みなのでしょう。ソリスト用のマイクのレベル設定に問題があったのかもしれませんね。これは多分、「ジークフリート」と「黄昏」の間でミキシング・コンソールが入力チャンネルの多い新型に変わったため。それまではソリスト用のマイクは全員で共有していたものが、一人一人にそれぞれマイクをセットできるようになったので、逆にフェーダーの操作が大変になってしまったからなのでしょう。なんでも、エンジニアが2人だけでは手が足らず、プロデューサーのカルショーまでもが操作したそうさ。ソリストに関しては、「ジークフリート」の音が最高なのでは。

BD-A Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2015-12-17 23:10 | オペラ | Comments(0)