おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
DEVIENNE/Quartets
c0039487_23165055.jpg


Kersten McCall(Fl)
Gustavo Núñez(Fg)
Musica Reale
Channel/CCS SA 35415(hybrid SACD)




このオランダのレーベルがリリースした、アムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者をフィーチャーしたアルバムは、例えばこちらのエミリー・バイノンをメインにしたアンサンブルなどのシリーズがありました。その流れでの新しい録音、今回はベイノンとともに首席フルート奏者を務めるケルステン・マッコールと首席ファゴット奏者のグスターヴォ・ヌニェスを中心にした四重奏曲がそれぞれ2曲ずつ収められています。
このオーケストラのライブ映像を見ると、バイノンが首席奏者に就任した1995年以降のものは、当時のかなり年配のもう一人の首席奏者はめったに乗っていなかったような気がしますが、2005年にマッコールがその後釜として新たに入団すると、バイノンと同じぐらい、あるいは少し多めの頻度で登場するようになったのではないでしょうか(あくまで、個人的な感想です)。まあ、確かにバイノンと比べても遜色のない演奏を聴かせてくれていたようですが、それほどの存在感はないのかな、と思っていたところに、この、ほとんど初めての、彼をメインにしたアルバムを聴いて、正直かなり驚いているところです。これはかなりすごいフルーティストです。
「マッコール」という、いかにもオネエ風(それは「マツコ」)、ではなく、スコットランド風のラストネームのせいか、イギリス人のように思われてファーストネームを「カーステン」と表記しているところもありますが(このSACDの帯でも)、彼は生粋のドイツ人なので、「ケルステン」と呼んだ方が本人も喜ぶのではないでしょうか。作曲家を父に持ち1973年にフライブルクで生まれ、現代音楽祭で有名なドナウエッシンゲンで育ったマッコールは、ニコレなどに師事、1997年には第4回神戸国際フルートコンクールで1位を獲得しました。その時の2位が、最近引退したアンドレアス・ブラウの後任として長く務めたシカゴ交響楽団からベルン・フィルに移籍したマテュー・デュフー、第3位がバイエルン放送交響楽団の首席奏者で音楽学者でもあるヘンリク・ヴィーゼという顔ぶれですから、昔から「すごかった」のでしょう。
神童であり、夭折しているところから「フランスのモーツァルト」とも呼ばれるフランソワ・ドヴィエンヌは、自身がフルートとファゴットを演奏したために、おもにその二つの楽器ための協奏曲や室内楽曲が有名ですが、それ以外の楽器のためにも膨大な作品を作っていますし、かなりの数のオペラや歌曲も作っているそうです。その中で、ここでマッコールたちが同僚のロイヤル・コンセルトヘボウ管の弦楽器奏者(日本人のヴァイオリン奏者の内藤淳子さんや、ヴィオラの小熊佐絵子さんなども)たちと演奏しているのは、Op.66-1とOp.66-3の2曲の四重奏曲です。いずれもクイケンたちの演奏で聴いたことがありました。しかし、ピリオドとモダンという楽器の違いもありますが、その印象はずいぶん異なるものでした。クイケンはあくまでアンサンブルの中の楽器という位置づけですが、マッコールはもっと存在感のあるソリスティックな活躍を見せています。イ短調のOp.66-1の冒頭で、最初に弦楽器だけでメランコリックなテーマが演奏される中に、彼のフルートが登場するとその場の空気がガラリと変わってしまうほどのインパクトが感じられます。こういう種類のフルートを吹いていたのが、あのゴールウェイでした。マッコールはゴールウェイほどの華やかな音色ではありませんが、技巧的なフレーズを「聴かせる」ことに関しては、決して引けを取りません。その完璧なテクニックと、心地よいピッチには、安心して身を委ねられる快感がありました。これからは、この人には注目が必要ですね。
音色に関して言えば、この録音ではゴールドの楽器では出ないようなこもった音のキーノイズが時折聴こえてきます。もしかしたらここでは時代的にあえて地味な音にするために、木管の楽器を使っていたのかもしれません。

SACD Artwork © Channel Classics Records bv
[PR]
by jurassic_oyaji | 2015-12-23 23:19 | フルート | Comments(0)