おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Symphony No.9
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針生美智子(Sop), 富岡明子(MS)
又吉秀樹(Ten), 小林由樹(Bar)
秋山和慶/
仙台フィルと第九を歌う合唱団他
仙台フィルハーモニー管弦楽団
Onebitious Records/OBXX00004B00Z(2.8MHz DSD)




仙台フィルが、12月23日に行われたに「第9」の演奏を、その5日後にハイレゾで配信を開始させるという離れ業をやってのけました。いつかはこんな日が来るとは思っていましたが。実際にやったのは、SONY系の音源配信サイトの「MORA」。そこの中の、「DSD」専門の配信レーベル「Onebitious Records」です。
アルバムの仕様は、もちろん演奏会で演奏されたすべてのプログラムが2.8MHz/1bitのフォーマットのDSDで録音されたものが収録されているのですが、それが2通りの録音方法で行われています。まずは、ごく普通の録音方式の中でも最もシンプルなやりかた、ステージ上方に吊り下げた2本のマイクだけによるワンポイント録音です。そしてもう一つ、これはおそらくこの配信サイトの顧客に対する配慮なのでしょう、「バイノーラル録音」というやり方です。これは「ダミーヘッド」という言い方もされますが、人間の頭と同じ大きさのマイクスタンドの「耳」に当たるところに小さなマイクを装着して録音を行うシステムです。ここで実際に使われているものには、ちゃんと「耳たぶ」まで付いています。

つまり、これはヘッドフォンを使って音楽を聴く時に、より自然な音場が感じられるように設計されたマイクです。SONYでは、ハイレゾを高級なオーディオシステムだけではなく、いわゆる「ウォークマン」で聴いてもハイレゾを体験できるというスタンスで大々的なプロモーションを行っていますから、当然そのようなユーザーへ向けての最適な録音方法による音源も用意するという「戦略」には抜かりがありません。
この「アルバム」を購入すると、序曲の「エグモント」と、「第9」の4つの楽章のそれぞれがワンポイントとバイノーラルの2つのファイル、合わせて10個のファイルがダウンロードされます。それで価格は1500円。一見お得なようですが、そのようなコンセプトであれば、それぞれのユーザーに向けて2種類の「アルバム」を用意して、価格を半分ずつにすればいいのでは、と思ってしまいます。というのも、せっかくだからとこのバイノーラルのファイルをヘッドフォンで聴いてみたのですが、その音のとてもハイレゾとは思えないあまりのクオリティの低さには驚いてしまったものですから。さらに、売り物のバイノーラルの音場も、おそらくマイクはかなり後ろの客席にセットしたのでしょう、まるでモノラルのような音場にしか聴こえません。これは、型番を見ると最低のグレードの製品、そのワンランク上のプロ仕様できちんとマウントされているマイクまで表示されているものの三分の一以下の価格のものです。よくそんなものを使って「商品」が作れたものです。
ワンポイントの方も、マイクは非常に定評のあるものですが、DSDのレコーダーは実はこれ(↓)。

全くの偶然ですが、個人的にアマチュアオーケストラの演奏会で、この同じレコーダーを使って、同じホールで、同じ位置のマイク(それはホール備え付けのもの)からの入力を直接録音したことがあります。それと聴き比べてみると、演奏の方はなんたってプロとアマチュアですから比べ物になりませんが、音に関してはこれより数段いいものが録れていました。その時のフォーマットは96kHz/24bitのPCMですが、万一の入力オーバーに備えてリミッターを使っていました。これは、通常は作動せず、オーバーした時だけ同時に用意していた低いゲインのものに差し替えるという優れものです。しかし、このアルバムではDSDで録音していますから、ファイルの特性上そのような操作は不可能です。そのために、なかなか思い切った録音レベルを設定できなかったのではないでしょうか。それにもかかわらず、合唱が明らかに飽和しているところもありますし。
演奏は、とても端正で格調高いものでした。ただ、合唱の男声の人数がちょっと少なかったようで、なんだか苦しげなところが見られたのが残念です。

File Artwork © Label Gate Co.,Ltd
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by jurassic_oyaji | 2015-12-29 23:31 | オーケストラ | Comments(0)